読書

山怪/田中康弘 著

山人が語る不思議な話。 ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話 作者:田中 康弘 山と溪谷社 Amazon 山里の集落の住人、狩人、そんな山と関わる人たちから取材した、山であった不思議な話が沢山収められている。狐憑きだったり、狸に化かされたり、ヒトダマ…

樹木たちの知られざる生活/ペーター・ヴォールレーベン著

森と植物に関する知見。 樹木たちの知られざる生活 森林管理官が聴いた森の声 (ハヤカワ文庫NF) 作者:ペーター ヴォールレーベン 早川書房 Amazon ドイツの森林管理官が森を見続けてきて得た知識が網羅されている。植物の話は面白い。 幾つか観葉植物を家に…

私とは何か/平野啓一郎 著

副題は、『「個人」から「分人」へ』。個人の中には色んな人格や性格があり、それを分人と呼ぶことを提唱する本。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 講談社 Amazon 本書の中に書かれているように、「個人」とはそれ以上…

地下鉄道/コルソン・ホワイトヘッド著

奴隷として綿花畑で働かされていた黒人女性の逃亡の物語。 地下鉄道 (ハヤカワepi文庫) 作者:ホワイトヘッド,コルソン 早川書房 Amazon 非常に重厚な小説だった。 時代設定がはっきり書かれていただろうか。訳者あとがきによると19世紀前半となっている。…

来福の家/温又柔 著

台湾生まれ、日本育ちの主人公は、三つの母語の狭間で格闘する――。すばる文学賞佳作受賞の鮮烈なデビュー作「好去好来歌」を収録。 来福の家 (白水Uブックス) 作者:温 又柔 白水社 Amazon 『好去好来歌』と『来福の家』、2篇の小説が収録されている。何れも…

反逆の神話 「反体制」は金になる/ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター著

「差異」への欲求こそが、資本主義を加速させる。カウンターカルチャーの欺瞞を暴いた名著。 反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる (ハヤカワ文庫NF) 作者:ジョセフ ヒース,アンドルー ポター 早川書房 Amazon 副題の『「反体制」は金になる』というの…

激しき雪 最後の国士・野村秋介/山平重樹 著

新右翼、民族派の思想的リーダーだった野村秋介の活動を綴った本。 激しき雪 最後の国士・野村秋介 (幻冬舎アウトロー文庫) 作者:山平 重樹 幻冬舎 Amazon 今、野村秋介という名前を聞いてどれくらいの人が知っているのだろうか。93年に朝日新聞の社内で自…

アメリカ大陸のナチ文学/ロベルト・ボラーニョ 著

南米で活躍した詩人や作家を紹介する人物辞典のような内容。ただし、全て架空の人物である。 アメリカ大陸のナチ文学 (ボラーニョ・コレクション) 作者:ロベルト・ボラーニョ 白水社 Amazon 各編は、名前と生年、没年が最初に記され、その人物が詩人や作家と…

何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から/斉加尚代 著

何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現場から/斉加尚代 著 大阪のテレビ・ラジオ局、MBS毎日放送でテレビ・ドキュメンタリーの作り手である筆者が、自身が手掛けた作品を元に報道の現場を記す本。 何が記者を殺すのか 大阪発ドキュメンタリーの現…

大日本帝国の銀河 全5巻/林譲治 著

第二世界大戦前夜の日本に、その当時の技術では建造できない軍用機が飛来する。そしてその搭乗員は火星から来たと宣言する。世界情勢が不穏な時代に各国の思惑が工作する中で異星人とのファーストコンタクトが進む。 大日本帝国の銀河 5 (ハヤカワ文庫JA) …

カッコーが鳴くあの一瞬/残雪 著

現代中国の女性作家による短編集。 カッコウが鳴くあの一瞬 (白水Uブックス) 作者:残雪 白水社 Amazon 何が書いてあるのかよく分からない。登場人物は無目的に行動し、場面は繋がりなく転じ、会話はあらぬ方向に拡散する。物語というものは、人物が行動する…

青森 1950-1962/工藤正市

昭和30年代の青森で、人知れず奇跡の瞬間を撮り溜めていた写真家がいた。没後、発見されたフィルムの束。そこに写されていたのは、戦後の青森に生きる人々の日常の姿と、やがて失われる情景への思慕にみちた、故郷を愛する写真家のまなざしである。家族がイ…

犯罪/フェルディナント・フォン・シーラッハ 著

犯罪にまつわる連作短編集。 犯罪 (創元推理文庫) 作者:フェルディナント・フォン・シーラッハ 東京創元社 Amazon この本を読んでみようと思った切っ掛けは、この動画でした。 www.youtube.com 職業はドイツ人と仰るマライ・メントラインさんが、ドイツの小…

ファイト・クラブ/チャック・パラニューク 著

デヴィッド・フィンチャー監督作の名作『ファイト・クラブ』の原作。 ファイト・クラブ〔新版〕 (ハヤカワ文庫NV) 作者:チャック パラニューク 早川書房 Amazon 毎朝、車で仕事に向かう。今の時期ならその時間はまだ日が昇っていなくて暗い。それでも車を走…

極私的2021年ベスト

もう終わるんですね、今年。 ■映画『DUNE/砂の惑星』 augtodec.hatenablog.com 素晴らしい体感型映画。3Dだとか映画館の座席が動いたりとか、映画の色んな体感の形はあるけれど、そのようなギミックを使わずに観客を映画の世界に放り込んでしまう作品だっ…

1945,鉄原/イ・ヒョン 著

1945年8月15日、「泥棒のようにやってきた」日本の植民地支配からの解放の日、朝鮮半島で人びとはなにを夢見ただろうか――。朝鮮半島のほぼ中央に位置する街・鉄原(チョロン)。解放直後の混乱のなか、不穏な事件が次々と起こり、街に動揺がひろがる…

山椒魚/井伏鱒二 著

井伏鱒二の短編集 山椒魚(新潮文庫) 作者:井伏 鱒二 新潮社 Amazon 沢山の文学家や作家の著した文章についての書籍を読んでいたら、井伏鱒二の書く文章は名文である、というようなことがあちこちに出てくる。様々な、それも文章を紡ぐのに練達した作家たち…

大日本帝国の銀河 1&2

第二次世界大戦前夜、ナチスドイツはヨーロッパを席巻し、日本軍は中国大陸に侵攻する。そんな時代に当時の技術力では現実化しない戦闘機でオリオン星からやってきたと言う異人が飛来する。米英、ソ連の参戦といった大戦への危機と国際情勢の駆け引きと共に…

調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝

音楽家、音楽評論家として著名な近田春夫氏の自伝。 調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝 作者:近田 春夫,下井草 秀 発売日: 2021/02/10 メディア: Kindle版 面白い。日本の大衆音楽の世界を渡り歩いて来た人の自伝だから、その業界の変遷を辿る内容でもあっ…

その街の今は/柴崎友香 著

20代のカフェでバイトをしている女性は、昔の大阪の写真を集めていたが、同じようなことに興味を持っている年下の男性と出会う。現代の大阪を舞台にした小説。 その街の今は (新潮文庫) 作者:友香, 柴崎 発売日: 2009/04/25 メディア: 文庫 とても透明な小説…

神戸・続神戸/西東三鬼 著

戦時中の神戸、東京から神戸に遁走した男はホテル住まいとなり、そこでうごめく住人たちと生活を共にするようになる。 神戸・続神戸 (新潮文庫) 作者:西東 三鬼 発売日: 2019/06/26 メディア: 文庫 文章術の本などを読んでいたら川端康成か井伏鱒二が読みた…

大阪/岸政彦 柴崎友香 著

大阪について大阪作者:岸 政彦,柴崎 友香発売日: 2021/01/27メディア: 単行本社会学者で小説家の岸政彦さんと小説家の共著による大阪についての随筆。岸さんは中部のご出身なようで大学から関西に来られて、今も関西の大学で先生をしておられる。柴崎さんは…

ISHIYA私観|ジャパニーズ・ハードコア30年史/ISHIYA 著

DEATH SIDE/FORWARDというバンドで東京のハードコアシーンを体験してきたISHIYA氏によるジャパニーズ・ハードコア史。ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史作者:ISHIYA発売日: 2021/01/10メディア: 単行本GAUZE、LIP CREAM、OUTO、S.O.B等々日本のハ…

天才による凡人のための短歌教室/木下龍也 著

歌人、木下龍也氏による短歌の始め方。 天才による凡人のための短歌教室 作者:木下龍也 発売日: 2020/12/25 メディア: Kindle版 少し前から短歌に興味を持っている。短歌に限らず、以前は詩というものを軽んじていて、言葉を幾らいじくり回しても現実の世界…

上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!/上野千鶴子、田房永子 著

フェミニズムについての対談本。 上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください! 作者:上野千鶴子,田房永子 発売日: 2020/04/03 メディア: Kindle版 昨今、フェミニズムという言葉を聞くことが多くなった。SNSでの論争とか。そういうものを見聞き…

邪宗門/高橋和巳 著

明治期に興ったある新興宗教の勃興を、戦前、戦中(開戦前夜)、そして戦後という時代の流れの中で描く小説。 邪宗門 上 (河出文庫) 作者:高橋 和巳 発売日: 2014/08/06 メディア: 文庫 邪宗門 下 (河出文庫) 作者:高橋 和巳 発売日: 2014/08/06 メディア: …

極私的2020ベスト

暮れも押しせまってきましたね ■映画『シング・ストリート』 augtodec.hatenablog.com2016年の映画をビデオ観賞。5、6月はコロナの非常事態下で仕事も無くアマプラで映画ばかり見ていたが、その中で一番好きな映画。高校生がバンドを組むという永遠不滅なお…

文明の生態史観/梅棹忠夫 著

国立民族学博物館の初代館長である梅棹忠夫が1950年代に発表した論考『文明の生態史観』を中心に、アジアを旅して感じた様々な考えを述べた書物。 文明の生態史観 (中公文庫) 作者:梅棹 忠夫 発売日: 1998/01/18 メディア: 文庫 本屋のブックフェアのような…

罪の声/塩田武士 著

紳士服店の店主の男は父親の遺品の中から手帖とカセットテープを見つける。そのテープを再生すると、そこには昭和の未解決事件で使用された子供の声が入っていて、それが幼い頃の自分の声だと確信する。一方、同じ時期に、過去の大事件をもう一度検証する難…

おらおらでひとりいぐも/若竹千佐子 著

74歳、老齢の女性のモノローグが東北弁で綴られる小説。 おらおらでひとりいぐも (河出文庫) 作者:若竹千佐子 発売日: 2020/06/26 メディア: Kindle版 方言を恥ずかしいものだとあまり思ったことがない。関西弁を普段話しているのだから地方人の方言話者なの…