読書

黒き荒野の果て/S.A.コスビー 著

米国南部の町で自動車修理工場を営むボーレガード。裏社会で語り継がれる伝説のドライバーだった彼は、足を洗い家族とまっとうに暮らしていた。だが工場の経営が傾きだしたことで運命の歯車は再び狂い始める。金策に奔走するボーレガードに昔の仲間が持ちか…

太陽の塔/森見登美彦 著

私の大学生活には華がない。特に女性とは絶望的に縁がない。三回生の時、水尾さんという恋人ができた。毎日が愉快だった。しかし水尾さんはあろうことか、この私を振ったのであった! クリスマスの嵐が吹き荒れる京の都、巨大な妄想力の他に何も持たぬ男が無…

モナドの領域/筒井康隆 著

河川敷で若い女性の腕が発見された。ほどなく近隣のベーカリーでアルバイトの美大生が精巧な腕形のバゲットを作り、店の常連の美大教授が新聞のコラムで取り上げ、評判を呼ぶ。次に教授は公園で人を集め、その全知全能を示し始める。自らを神の上の「無限の…

小隊/砂川文次 著

軍事描写のあまりのリアルさに話題となり、専門家をも唸らせた『小隊』にデビュー作『戦場のレビヤタン』を合本して文庫化。「ブラックボックス」で第166回芥川賞を受賞、元自衛官という異色の経歴をもつ作家が放つ、衝撃の戦争小説3篇。 小隊 (文春文庫) …

猫と庄造と二人のおんな/谷崎潤一郎 著

一匹の猫を中心に、猫を溺愛している愚昧な男、猫に嫉妬し、追い出そうとする女、男への未練から猫を引取って男の心をつなぎとめようとする女の、三者三様の痴態を描く。人間の心に宿る“隷属”への希求を反時代的なヴィジョンとして語り続けた著者が、この作…

賢人と奴隷とバカ/酒井隆史 著

「ポピュリズム」「反知性主義」「ポスト・トゥルース」時代を「象徴」する言説に潜む〈大衆への差別的なまなざし〉。資本主義×知識人が一体となって管理・支配しようとする現況を問い、近代社会の土台に存在する、無名の人びとが蓄積してきた知や技術に光を…

思想としてのアナキズム/森元斎 編

いかに「思想」としてのアナキズムを保持し得るか。どこまで原理的に、かつ多様に、アナーキーであり続けられるのか――。 暴力論、運動実践、哲学、人類学、宗教、音楽、映画、フェミニズム、近代日本、さまざまなベクトルが交差するアナキズムの現在。 思想…

死なないための暴力論/森元斎 著

世の中にあふれる暴力には、否定すべきものと、肯定せざるをえないものがあるのだ。ジョルジュ・ソレルからデヴィッド・グレーバー、女性参政権運動からBLMまで……世界の思想・運動に学びつつ、思考停止の「暴力反対」から抜け出し、倫理的な力のあり方を探る…

息吹/テッド・チャン 著

「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。待望の最新作品集がついに刊行。『千夜一夜物語』の枠組みを使い、科学的にあり得るタイムトラベルを描いた「商人と錬金術師の門」をはじめ、各賞受賞作9篇を収…

アメリカ映画の文化副読本/渡辺将人 著

〈7つの文化〉で紐解いていく「アメリカ」。お馴染みの著名作品から日本では劇場未公開の知られざる個性派作品、Netflixオリジナル作品やAmazonプライムなど配信系オリジナルの映画ドラマまで数多くの作品を幅広く紹介。 アメリカ映画の文化副読本 作者:渡…

会計の基本と儲け方はラーメン屋が教えてくれる/石動龍 著

公認会計士・税理士として働く傍ら、地元八戸市で「ドラゴンラーメン」を開業した著者による、ラーメン屋を題材にした管理会計の入門書。「会計士・税理士としての専門知識」×「ラーメン屋の実体験」を交えながら、管理会計を具体的・実践的に解説します。 …

文化大革命と現代中国/安藤正士、大田勝洪、辻康吾 著

一九六六年,中国を激動させ世界を驚かせた文化大革命が始まった.それは中国社会主義革命の新たな発展段階であるとされたが,八一年中共中央の「歴史決議」で大災難であったと全否定された.文革を一つの時代としてとらえ,その過程で何が目指され,いかな…

雪国/川端康成 著

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。「無為の孤独」を非情に守る青年・島村と、雪国の芸者・駒子の純情。魂が触れあう様を具に描き、人生の哀しさ美しさをうたったノーベル文学賞作家の名作。 雪国 (角川文庫) 作者:川端 康成 KADOKAWA Amazon 先般…

女の人差し指/向田邦子 著

ドラマ脚本家デビューのきっかけを綴った話、妹と営んだ小料理屋「ままや」の開店模様、人形町からアフリカまで各地の旅の思い出、急逝により「週刊文春」連載最後の作品となった「クラシック」等、名エッセイの数々を収録。日々の暮しを愛し、好奇心旺盛に…

イスラームの日常生活/片倉ともこ 著

イスラームは,いまや第三世界にとどまらず地球的規模に広がっている.その世界観が,幅広い世代にわたって,十億もの人びとの心をひきつけるのはなぜか.長年,世界各地の実情を見てきた著者が,生活体系としてのイスラームを,断食,礼拝,巡礼などの基本…

右翼の言い分/宮崎学 著

平成18年(2006年)8月15日、山形県鶴岡市にある自民党の加藤紘一氏の実家が放火された。この事件には、社会全体の右傾化の波を直接被って、右翼民族派の存在そのものが後景へと追いやられることへの無意識のうちの反発という側面があったのではないかと私は考…

岸辺のアルバム/山田太一 著

昭和ホームドラマの金字塔、その原作小説。 1977年夏にTBS系列で放送され、「辛口ホームドラマ」として放送史に燦然と輝く名作。その原作小説は1976〜77年にかけて東京新聞ほかで連載された。 高度成長期の大企業に勤めるモーレツサラリーマンの夫・田島謙作…

ある行旅死亡人の物語/武田惇志、伊藤亜衣 著

はじまりは、たった数行の死亡記事だった。警察も探偵もたどり着けなかった真実へ――。「名もなき人」の半生を追った、記者たちの執念のルポルタージュ。ウェブ配信後たちまち1200万PVを獲得した話題の記事がついに書籍化! ある行旅死亡人の物語 作者:武田 …

社会心理学講義/小坂井敏晶 著

社会心理学とはどのような学問なのか。本書では、社会を支える「同一性と変化」の原理を軸にこの学問の発想と意義を伝える。人間理解への示唆に満ちた渾身の講義。 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会> (筑摩選書) 作者:小坂井敏晶 筑摩…

前衛音楽入門/松村正人 著

“アヴァンギャルド”とはなんだったのか!?音楽の限界をめぐる20世紀の冒険その後ポップ・ミュージックに応用される“前衛”から“実験”へのクロニクル 前衛音楽入門 (ele-king books) 作者:松村 正人 Pヴァイン Amazon 所謂、前衛音楽、アヴァンギャルド、即興音…

地図と拳/小川哲 著

1899年、満州にある李家鎮という村が日本に占領され、満州国の建国から日本の敗戦の歴史を経て村から都市になりやがて廃墟になるまでを描いた小説。 地図と拳 (集英社文芸単行本) 作者:小川哲 集英社 Amazon 満州の奉天(現在の瀋陽)の東にある架空の村…

極私的2023年ベスト

大晦日なので今年の総括を。 ■映画 『別れる決心』 augtodec.hatenablog.com 韓国映画。大好きなパク・チャヌクの新作が今年のベスト。観終わって深い余韻が続く映画だった。映像に深味と貫禄があって、物語には現代性もあって今の時代を描いている。そして…

一九八四年/ジョージ・オーウェル 著

近未来の全体主義国家を予見した1949年の英国で生まれたSF小説。 一九八四年 (ハヤカワepi文庫) 作者:ジョージ・オーウェル,高橋 和久 早川書房 Amazon 訳者あとがきに以下のようにある。 読んでいないのに見栄によるのか礼儀によるのか、読んだふりをし…

アナーキスト人類学のための断章/デヴィッド・グレーバー 著

ネグリ=ハート(『〈帝国〉』)以降の最重要人物の思想がついにベールを脱ぐ。現在、10ヶ国語への翻訳が進行中の本書は、今後、思想の〈語り口〉を一変させるほどの力を持っている。著者の盟友でもある高祖岩三郎による翻訳でお届けする、アナーキズム&人…

アルファルファ作戦/筒井康隆 著

筒井康隆の初期SF短編集。 古書屋に行くと100円でこの本が売っていた。中公文庫のものでなく単行本で初版。発行は昭和51年だから1971年。少し表紙にかすれはあるけど大方は綺麗。筒井康隆は今はもう大作家だけれど、その初期の初版本が100円で売…

飛田残月/黒岩重吾 著

大阪の遊郭街「飛田」を舞台にした小説など、八編の小説が収録された短編集。 飛田残月 (ちくま文庫) 作者:黒岩重吾 筑摩書房 Amazon なんとなく題名と表紙が気になって手にとった一冊。飛田が舞台、娼婦が登場人物の作品は3作。もうひとつ『雲の花』という…

民主主義とは何か/宇野重規 著

民主主義の成り立ちを古代ギリシャから紐解いて現代の民主主義までを概説する本。 民主主義とは何か (講談社現代新書) 作者:宇野重規 講談社 Amazon リベラルとは何か/田中拓道 著 - 8月~12月 保守主義とは何か/宇野重規 著 - 8月~12月 と読んでき…

セル/スティーヴン・キング 著

ある日ある時、携帯電話を使っていた人たちは気が狂ってしまった。彼らは正常な人を襲い、殺して、街は阿鼻叫喚の混乱に陥る。この災厄から逃れた3人の男女は街から脱出するべく歩き始める。 セル(上) (新潮文庫) 作者:スティーヴン キング 新潮社 Amazon …

もう革命しかないもんね/森元斎 著

里山に移住した哲学者・アナキストによる実践的ゆるゆる「生活の哲学」入門講座。「さて、どうしようか。お金はあっても生きていけるが、なくても生きていける。どこへ行っても、その人が必要とされ、その人の能力が発揮されるであろう場所は、ある」福岡の…

アナキズムを読む/田中ひかる 編

アナキズム関連の読書ガイド。 アナキズムを読む 〈自由〉を生きるためのブックガイド 作者:田中 ひかる(編) 皓星社 Amazon アナキズムとアナキズムが読み取れる書籍が多数紹介されている。プルードン、バクーニン、大杉栄といった歴史的な人物の著作から、…