読書

人民の敵 外山恒一の半生/藤原賢吾 著

外山恒一(とやま・こういち)1970年鹿児島生。革命家。前科三犯。一度も就職せず、街頭ライブを主な生業としながら「政府転覆」を掲げ、民主主義を否定し、齢は50を過ぎた。どれだけ打ちのめされ、敗れ続けても、決して諦めない革命家の軌跡。 人民の敵…

その昔、N市では/マリー・ルイーゼ・カシュニッツ 著

ドイツの女流作家カシュニッツの短編集。 その昔、N市では カシュニッツ短編傑作選 作者:マリー・ルイーゼ・カシュニッツ 東京創元社 Amazon 奇妙な短編が並んでいる。部屋を女学生に貸した老婆が段々と家の中で居場所を失っていく話や、妹を港に送っていっ…

植物考/藤原辰史 著

はたして人間は植物より高等なのか?植物のふるまいに目をとめ、歴史学、文学、哲学、芸術を横断しながら人間観を一新する、スリリングな思考の探検。 植物考 作者:藤原辰史 生きのびるブックス株式会社 Amazon アルバイトではあったけれど植物に関わる仕事…

人新世の「資本論」/斉藤幸平 著

マルクスを紐解き資本主義からの脱却を説く本。 人新世の「資本論」 (集英社新書) 作者:斎藤幸平 集英社 Amazon 資本主義の暴走によって地球温暖化に始まる気候変動は止められなくなっている。それならば資本主義を疑ってみてはどうか、マルクスが提唱してい…

ファクトフルネス/ハンス・ロスリング他 著

10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 FACTFULNESS(ファクトフルネス)10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣 作者:ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド 日経BP Amazon 古本…

認知バイアス辞典/高橋昌一郎 監修

認知バイアスというものについて論理学・認知科学・社会心理学の分野で解説する本。 情報を正しく選択するための認知バイアス事典 作者:情報文化研究所 フォレスト出版 Amazon まえがきに 「認知バイアス」とは偏見や先入観、固定断定や歪んだデータ、一方的…

極私的2022ベスト

難儀なことばかりの一年でしたね。 ■映画『エルヴィス』 augtodec.hatenablog.com 物語に大きな起伏があって画面が華やかで主人公が格好良くて、決めの場面が全てキマっていて素敵要素だけでできている映画。大きな画面と迫力のある音響で、映画館で観て本当…

民宿雪国/樋口毅宏 著

新潟県のさほど観光地でもない場所に民宿雪国があった。その主人は数奇な運命を辿った男で、その人生が少しずつ解き明かされる。 民宿雪国 (祥伝社文庫) 作者:樋口 毅宏 祥伝社 Amazon 『中野正彦の昭和九十二年』という著者の新刊が回収となったらしい。 ht…

残念こそ俺のごちそう。そして、 ベストコラム集/バッキー井上

Meets Regionalで長く酒場についてのコラムを連載する著者のベスト盤 残念こそ俺のご馳走。――そして、ベストコラム集 作者:バッキー井上 ミシマ社 Amazon バッキー井上さんという人は酒場について書く人だ。酒や肴のウンチクを語る人ではない。どこそこの酒…

夜は短し歩けよ乙女/森見登美彦 著

大学の後輩である黒髪の乙女に恋する先輩男子は、奇遇に次ぐ奇遇によって彼女と鉢合わせすることで外堀を埋めようとしていたが、そのことによって春夏秋冬おかしな事案に巻き込まれる。 夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫) 作者:森見 登美彦 KADOKAWA Amazon 少…

勝手にふるえてろ/綿矢りさ 著

中学生の時の同級生の男子に、未だに恋焦がれている26歳の女子が、会社の同僚の男性にせまられたりしつつ暮らす話。短編『仲良くしようか』を併録。 勝手にふるえてろ (文春文庫) 作者:綿矢 りさ 文藝春秋 Amazon 映画や物語を観たり読んだりして「感情移…

火星の人/アンディ・ウィアー 著

有人火星探査によって火星に降り立った宇宙飛行士たちは、強い砂嵐の為に撤退を余儀なくされる。彼らは帰還船に乗り込もうとしたが、その際に乗組員の一人、ワトニーに飛んできたアンテナが突き刺さり彼は強風で吹き飛ばされてしまう。彼が死んだと判断した…

三島由紀夫レター教室/三島由紀夫 著

5人の登場人物たちが手紙をやり取りする形で物語が紡がれていく小説。 三島由紀夫レター教室 (ちくま文庫) 作者:三島 由紀夫 筑摩書房 Amazon 今どきの人たちは、手紙を書くことがあるだろうか。eメールがあるしLINEもあるから手紙で済ませる用事はスマート…

フェミニズムってなんですか?/清水晶子 著

フェミニズムの概要について解説してくれる書。 フェミニズムってなんですか? (文春新書) 作者:清水 晶子 文藝春秋 Amazon 以前、フェミニズムの歴史と概要が知りたくて『上野先生、フェミニズムについてゼロから教えてください!』という本を読んだが、思…

裏面 ある幻想的な物語/アルフレート・クビーン 著

ドイツに住む画家は、見知らぬ男の訪問を受ける。彼が言うには、画家の同級生は富豪となり中央アジアに夢の国を建設している、そしてその国にあなたを招待したい、とのことだった。画家はその申し出を受けて妻と夢の国に移住するが、その国の崩壊を目撃する…

悪魔が憐れむ歌 暗黒映画入門/高橋ヨシキ 著

映画監督としても活躍する高橋ヨシキ氏の映画評論集。 悪魔が憐れむ歌 ――暗黒映画入門 (ちくま文庫) 作者:高橋 ヨシキ 筑摩書房 Amazon 映画本は星の数ほどあれど、好きな映画本をひとつ選べと言われればこれになるのです。 『悪趣味洋画劇場』1994年、…

スタッフロール/深緑野分 著

80年代にSF映画や怪獣映画で特殊造形師として働いていたマチルダは、突如姿を消してしまうが、彼女が最後に作ったモンスターはカルト映画としていつまでも人気があった。 2010年代に同作品がリメイクされることになり、CGクリエイターのヴィヴィアンは…

ある男/平野啓一郎 著

子を亡くし離婚を経験した女は郷里に帰り暮らしていたが、ある男と知り合い結婚して家族となる。しかし幸せな生活もつかの間、男は仕事の事故で死んでしまう。男の過去の話から親族に連絡すると実兄がやってくるが、遺影を見るなり弟ではないと言う。では誰…

ファスト教養/レジー 著

昨今の世の中で隆盛するファスト教養を解読する本。 ファスト教養 10分で答えが欲しい人たち (集英社新書) 作者:レジー 集英社 Amazon 雨宮純の『あなたを陰謀論者にする言葉』は、自己啓発やマルチ商法がオカルトやスピリチュアルと同じ泉から湧き出してい…

自民党の統一教会汚染 追跡3000日/鈴木エイト 著

安倍晋三銃撃事件の後に明らかになっていった統一教会と政治家の蜜月を、それよりずっと前から追跡し報道していた著者による本。 自民党の統一教会汚染 追跡3000日 作者:鈴木エイト 小学館 Amazon 連日ニュースなどで統一教会と政治家の関係があらわにな…

妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ/橋迫瑞穂 著

妊娠と出産を控えた女性たちの周囲に広がるスピリチュアリティを社会学者が考察する本。 妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ (集英社新書) 作者:橋迫瑞穂 集英社 Amazon つい先日『あなたを陰謀論者にする言葉』という本を読んだ。陰謀論、オカルトなどの…

反=恋愛映画論/佐々木敦、児玉美月 著

古今東西の恋愛映画について語る内容。 反=恋愛映画論──『花束みたいな恋をした』からホン・サンスまで (ele-king books) 作者:児玉 美月,佐々木 敦 Pヴァイン Amazon 恋愛映画だけに特化して著者の二人が対談し、その考えを掘り下げていく。私はこう思った…

あなたを陰謀論者にする言葉/雨宮純 著

古今東西のオカルト、陰謀論を網羅し解説する書。 あなたを陰謀論者にする言葉 Forest2545新書 作者:雨宮純 フォレスト出版 Amazon 様々な胡散臭げなものたちが取り上げられる。 60年代に始まったカウンターカルチャー、ヒッピームーブメントから、ドラッグ…

テロリズムとは何か/小林良樹 著

元警察官僚の著者によるテロリズムの研究と解説の書。 テロリズムとは何か――〈恐怖〉を読み解くリテラシー 作者:小林 良樹 慶應義塾大学出版会 Amazon 画像は自分の本棚から。 黄色い本『WAVE14 テロ 完全イエローブック』は1987年刊行の本で、当時のテロリ…

山怪/田中康弘 著

山人が語る不思議な話。 ヤマケイ文庫 山怪 山人が語る不思議な話 作者:田中 康弘 山と溪谷社 Amazon 山里の集落の住人、狩人、そんな山と関わる人たちから取材した、山であった不思議な話が沢山収められている。狐憑きだったり、狸に化かされたり、ヒトダマ…

樹木たちの知られざる生活/ペーター・ヴォールレーベン著

森と植物に関する知見。 樹木たちの知られざる生活 森林管理官が聴いた森の声 (ハヤカワ文庫NF) 作者:ペーター ヴォールレーベン 早川書房 Amazon ドイツの森林管理官が森を見続けてきて得た知識が網羅されている。植物の話は面白い。 幾つか観葉植物を家に…

私とは何か/平野啓一郎 著

副題は、『「個人」から「分人」へ』。個人の中には色んな人格や性格があり、それを分人と呼ぶことを提唱する本。 私とは何か 「個人」から「分人」へ (講談社現代新書) 作者:平野啓一郎 講談社 Amazon 本書の中に書かれているように、「個人」とはそれ以上…

地下鉄道/コルソン・ホワイトヘッド著

奴隷として綿花畑で働かされていた黒人女性の逃亡の物語。 地下鉄道 (ハヤカワepi文庫) 作者:ホワイトヘッド,コルソン 早川書房 Amazon 非常に重厚な小説だった。 時代設定がはっきり書かれていただろうか。訳者あとがきによると19世紀前半となっている。…

来福の家/温又柔 著

台湾生まれ、日本育ちの主人公は、三つの母語の狭間で格闘する――。すばる文学賞佳作受賞の鮮烈なデビュー作「好去好来歌」を収録。 来福の家 (白水Uブックス) 作者:温 又柔 白水社 Amazon 『好去好来歌』と『来福の家』、2篇の小説が収録されている。何れも…

反逆の神話 「反体制」は金になる/ジョセフ・ヒース&アンドルー・ポター著

「差異」への欲求こそが、資本主義を加速させる。カウンターカルチャーの欺瞞を暴いた名著。 反逆の神話〔新版〕 「反体制」はカネになる (ハヤカワ文庫NF) 作者:ジョセフ ヒース,アンドルー ポター 早川書房 Amazon 副題の『「反体制」は金になる』というの…