読書

息吹/テッド・チャン 著

「あなたの人生の物語」を映画化した「メッセージ」で、世界的にブレイクしたテッド・チャン。待望の最新作品集がついに刊行。『千夜一夜物語』の枠組みを使い、科学的にあり得るタイムトラベルを描いた「商人と錬金術師の門」をはじめ、各賞受賞作9篇を収…

アメリカ映画の文化副読本/渡辺将人 著

〈7つの文化〉で紐解いていく「アメリカ」。お馴染みの著名作品から日本では劇場未公開の知られざる個性派作品、Netflixオリジナル作品やAmazonプライムなど配信系オリジナルの映画ドラマまで数多くの作品を幅広く紹介。 アメリカ映画の文化副読本 作者:渡…

会計の基本と儲け方はラーメン屋が教えてくれる/石動龍 著

公認会計士・税理士として働く傍ら、地元八戸市で「ドラゴンラーメン」を開業した著者による、ラーメン屋を題材にした管理会計の入門書。「会計士・税理士としての専門知識」×「ラーメン屋の実体験」を交えながら、管理会計を具体的・実践的に解説します。 …

文化大革命と現代中国/安藤正士、大田勝洪、辻康吾 著

一九六六年,中国を激動させ世界を驚かせた文化大革命が始まった.それは中国社会主義革命の新たな発展段階であるとされたが,八一年中共中央の「歴史決議」で大災難であったと全否定された.文革を一つの時代としてとらえ,その過程で何が目指され,いかな…

雪国/川端康成 著

国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。「無為の孤独」を非情に守る青年・島村と、雪国の芸者・駒子の純情。魂が触れあう様を具に描き、人生の哀しさ美しさをうたったノーベル文学賞作家の名作。 雪国 (角川文庫) 作者:川端 康成 KADOKAWA Amazon 先般…

女の人差し指/向田邦子 著

ドラマ脚本家デビューのきっかけを綴った話、妹と営んだ小料理屋「ままや」の開店模様、人形町からアフリカまで各地の旅の思い出、急逝により「週刊文春」連載最後の作品となった「クラシック」等、名エッセイの数々を収録。日々の暮しを愛し、好奇心旺盛に…

イスラームの日常生活/片倉ともこ 著

イスラームは,いまや第三世界にとどまらず地球的規模に広がっている.その世界観が,幅広い世代にわたって,十億もの人びとの心をひきつけるのはなぜか.長年,世界各地の実情を見てきた著者が,生活体系としてのイスラームを,断食,礼拝,巡礼などの基本…

右翼の言い分/宮崎学 著

平成18年(2006年)8月15日、山形県鶴岡市にある自民党の加藤紘一氏の実家が放火された。この事件には、社会全体の右傾化の波を直接被って、右翼民族派の存在そのものが後景へと追いやられることへの無意識のうちの反発という側面があったのではないかと私は考…

岸辺のアルバム/山田太一 著

昭和ホームドラマの金字塔、その原作小説。 1977年夏にTBS系列で放送され、「辛口ホームドラマ」として放送史に燦然と輝く名作。その原作小説は1976〜77年にかけて東京新聞ほかで連載された。 高度成長期の大企業に勤めるモーレツサラリーマンの夫・田島謙作…

ある行旅死亡人の物語/武田惇志、伊藤亜衣 著

はじまりは、たった数行の死亡記事だった。警察も探偵もたどり着けなかった真実へ――。「名もなき人」の半生を追った、記者たちの執念のルポルタージュ。ウェブ配信後たちまち1200万PVを獲得した話題の記事がついに書籍化! ある行旅死亡人の物語 作者:武田 …

社会心理学講義/小坂井敏晶 著

社会心理学とはどのような学問なのか。本書では、社会を支える「同一性と変化」の原理を軸にこの学問の発想と意義を伝える。人間理解への示唆に満ちた渾身の講義。 社会心理学講義 ──<閉ざされた社会>と<開かれた社会> (筑摩選書) 作者:小坂井敏晶 筑摩…

前衛音楽入門/松村正人 著

“アヴァンギャルド”とはなんだったのか!?音楽の限界をめぐる20世紀の冒険その後ポップ・ミュージックに応用される“前衛”から“実験”へのクロニクル 前衛音楽入門 (ele-king books) 作者:松村 正人 Pヴァイン Amazon 所謂、前衛音楽、アヴァンギャルド、即興音…

地図と拳/小川哲 著

1899年、満州にある李家鎮という村が日本に占領され、満州国の建国から日本の敗戦の歴史を経て村から都市になりやがて廃墟になるまでを描いた小説。 地図と拳 (集英社文芸単行本) 作者:小川哲 集英社 Amazon 満州の奉天(現在の瀋陽)の東にある架空の村…

極私的2023年ベスト

大晦日なので今年の総括を。 ■映画 『別れる決心』 augtodec.hatenablog.com 韓国映画。大好きなパク・チャヌクの新作が今年のベスト。観終わって深い余韻が続く映画だった。映像に深味と貫禄があって、物語には現代性もあって今の時代を描いている。そして…

一九八四年/ジョージ・オーウェル 著

近未来の全体主義国家を予見した1949年の英国で生まれたSF小説。 一九八四年 (ハヤカワepi文庫) 作者:ジョージ・オーウェル,高橋 和久 早川書房 Amazon 訳者あとがきに以下のようにある。 読んでいないのに見栄によるのか礼儀によるのか、読んだふりをし…

アナーキスト人類学のための断章/デヴィッド・グレーバー 著

ネグリ=ハート(『〈帝国〉』)以降の最重要人物の思想がついにベールを脱ぐ。現在、10ヶ国語への翻訳が進行中の本書は、今後、思想の〈語り口〉を一変させるほどの力を持っている。著者の盟友でもある高祖岩三郎による翻訳でお届けする、アナーキズム&人…

アルファルファ作戦/筒井康隆 著

筒井康隆の初期SF短編集。 古書屋に行くと100円でこの本が売っていた。中公文庫のものでなく単行本で初版。発行は昭和51年だから1971年。少し表紙にかすれはあるけど大方は綺麗。筒井康隆は今はもう大作家だけれど、その初期の初版本が100円で売…

飛田残月/黒岩重吾 著

大阪の遊郭街「飛田」を舞台にした小説など、八編の小説が収録された短編集。 飛田残月 (ちくま文庫) 作者:黒岩重吾 筑摩書房 Amazon なんとなく題名と表紙が気になって手にとった一冊。飛田が舞台、娼婦が登場人物の作品は3作。もうひとつ『雲の花』という…

民主主義とは何か/宇野重規 著

民主主義の成り立ちを古代ギリシャから紐解いて現代の民主主義までを概説する本。 民主主義とは何か (講談社現代新書) 作者:宇野重規 講談社 Amazon リベラルとは何か/田中拓道 著 - 8月~12月 保守主義とは何か/宇野重規 著 - 8月~12月 と読んでき…

セル/スティーヴン・キング 著

ある日ある時、携帯電話を使っていた人たちは気が狂ってしまった。彼らは正常な人を襲い、殺して、街は阿鼻叫喚の混乱に陥る。この災厄から逃れた3人の男女は街から脱出するべく歩き始める。 セル(上) (新潮文庫) 作者:スティーヴン キング 新潮社 Amazon …

もう革命しかないもんね/森元斎 著

里山に移住した哲学者・アナキストによる実践的ゆるゆる「生活の哲学」入門講座。「さて、どうしようか。お金はあっても生きていけるが、なくても生きていける。どこへ行っても、その人が必要とされ、その人の能力が発揮されるであろう場所は、ある」福岡の…

アナキズムを読む/田中ひかる 編

アナキズム関連の読書ガイド。 アナキズムを読む 〈自由〉を生きるためのブックガイド 作者:田中 ひかる(編) 皓星社 Amazon アナキズムとアナキズムが読み取れる書籍が多数紹介されている。プルードン、バクーニン、大杉栄といった歴史的な人物の著作から、…

掃除婦のための手引書/ルシア・ベルリン 著

毎日バスに揺られて他人の家に通いながら、ひたすら死ぬことを思う掃除婦(「掃除婦のための手引き書」)。道路の舗装材を友だちの名前みたいだと感じてしまう、独りぼっちの少女(「マカダム」)。波乱万丈の人生から紡いだ鮮やかな言葉で、本国アメリカで…

アナキズム入門/森元斎 著

著名なアナキストを紹介しながらアナキズムとは何なのかを紐解いていく内容。 アナキズム入門 (ちくま新書1245) 作者:森 元斎 筑摩書房 Amazon 『くらしのアナキズム』という本を読んで、アナキズムというものを漠然としか分かっていない、いや、本当は何も…

くらしのアナキズム/松村圭一郎 著

国家は何のためにあるのか? ほんとうに必要なのか? 「国家なき社会」は絶望ではない。 希望と可能性を孕んでいる。 よりよく生きるきっかけとなる、〈問い〉と〈技法〉を人類学の視点からさぐる。 本書でとりあげる「人類学者によるアナキズム論」とは… ・…

にんげん住所録/高峰秀子 著

昭和の大女優だった著者による著名人にまつわるエッセイ集。 にんげん住所録 (文春文庫) 作者:高峰秀子 文藝春秋 Amazon 京都の中心部から言えば西南の方角にある長岡京市の辺りを散策していると駅前に古書店があるのを知った。ヨドニカ文庫という古書店で、…

地獄への潜入 白人至上主義者たちのダーク・ウェブカルチャー/タリア・ラヴィン 著

白人至上主義、反ユダヤ、人種差別主義者、ネオナチ、そういった人々が集まるウェブサイトに潜入して彼らの主義主張を報告する書。 地獄への潜入 作者:タリア・ラヴィン,道本美穂 柏書房 Amazon 米国人の著者がインターネットの辺境のような白人至上主義者た…

ずっとお城で暮らしてる/シャーリイ・ジャクスン 著

18歳のメアリ・キャサリン・ブラックウッド(メリキャット)は、姉のコンスタンス、ジュリアン叔父さん、猫のジョナスと村のはずれの屋敷で暮らしている。ブラックウッド家については家族がヒ素中毒で亡くなったことから村人たちからは異常な関心と侮蔑の…

頭山満 アジア主義者の実像/嵯峨隆 著

戦前に大きな力をもったアジア主義者の浪人・頭山満(とうやまみつる)。アジアとの連帯感と侵略志向が併存するその思想を読み解き、日本のアジア観を問い直す。 頭山満 ――アジア主義者の実像 (ちくま新書) 作者:嵯峨 隆 筑摩書房 Amazon ナショナリズムの本…

人生は驚きに充ちている/中原昌也 著

小説、対談、ルポ、日記、エッセイと色んなジャンルの中原昌也の仕事集。 人生は驚きに充ちている 作者:中原昌也 新潮社 Amazon こんな本ってあまりないのではないだろうか。中原昌也と言えばノイズ・ミュージシャンだけど、小説家としても既に色んな賞を受…