アルファルファ作戦/筒井康隆 著

筒井康隆の初期SF短編集。

古書屋に行くと100円でこの本が売っていた。中公文庫のものでなく単行本で初版。発行は昭和51年だから1971年。少し表紙にかすれはあるけど大方は綺麗。
筒井康隆は今はもう大作家だけれど、その初期の初版本が100円で売っていてよいものだろうか。まあ、有り難いけど。

昔、中学生の頃からSFが好きになって海外のものならアシモフブラッドベリハインライン、日本のものなら星新一筒井康隆をよく読んだ。だから、ある時期以前の筒井康隆は殆んど読んでいるので、この本も読んでいるはず、だけどもう憶えていない、という再読。

読んでみるとやはり古い感じは否めない。SF的設定は薄っすらあるけれど、基本はドタバタで兎に角メチャクチャな展開になる小説が多い。今の時代ならここに載っている小説をSFだと言ったら異論があるんじゃないだろうか。ポリコレみたいなものが言われていなかった時代の作品だというのも感じるが、筒井康隆というひとには元々関係ないとも言えるかも知れない。
『懲戒の部屋』という小説は電車内で痴漢の免罪で捕まった男がフェミニストたちに責められるというお話。これなんて今どきのミソジニーたちの主張を小説にしたようで、先見性があるというかミソジニー達が50年くらい進化していないのかどっちかだと思う。

とにかくハチャメチャになって終わりという破滅的なお話が多くて、初期の筒井康隆ってこんなだっただろうかと思う。そして近作はどうなってるんだろうとも思う。最近、筒井康隆は最後の短編集というものを出したはずなので読み比べてもいいかも知れないけれど。