アステロイド・シティ

2023年、米国、ウェス・アンダーソン監督作

砂漠のアステロイド・シティを舞台にしたお芝居とその舞台裏とそれを解説するテレビ司会者。

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よく分からない映画。メインのアステロイド・シティのお話は舞台劇だということになっている。そしてその演出家が登場する舞台裏がモノクロで表現され、それを紹介するテレビ司会者がいる。メインのアステロイド・シティの物語がそもそも何が言いたいのかよく分からない。子供たちの科学発表会があったりUFOがやってきたり、そこにやってきた人々が外部に出られないように封鎖されたりと出来事は色々と起こるけれど、それで?くらいの関心しか持てない。舞台裏もテレビ司会者も含めて、映画が描き出している物語にあまり興味がわかず、何が言いたいのかもよく分からなかった。
映画を解読することだけが映画の見方ではなくて、ただ観て面白ければそれでいいし、その上で何を表現しようとした映画なのかという読み解きがあると思うけれど、端的にそこまで興味の持てないお話だった。ウェス・アンダーソンの映画をみると最近こんな感想ばかりになってしまう。

どの場面も色合いが綺麗で構図がしっかりしていて完璧に設計された画面だなと思うけれど、ウェス・アンダーソンの映画にしては縦の奥行きが物足りないという気もした。

黒き荒野の果て/S.A.コスビー 著

米国南部の町で自動車修理工場を営むボーレガード。裏社会で語り継がれる伝説のドライバーだった彼は、足を洗い家族とまっとうに暮らしていた。
だが工場の経営が傾きだしたことで運命の歯車は再び狂い始める。
金策に奔走するボーレガードに昔の仲間が持ちかけてきたのは宝石店強盗の運転役。
それは家族を守るための最後の仕事になるはずだった。
ギャングの抗争に巻き込まれるまでは――。

 

何かミステリーの徹夜で一気読みしたくなるような小説が読んでみたくて、『このミス2023年版』で6位という帯に惹かれ読んでみた犯罪小説。導入部は正直まどろっこしいと思わないでもなかったけれど、宝石店強盗を実行するところから物語が一気に加速し始めて、あっという間に読み終えてしまった。主人公がどうしようもなく巻き込まれた状況からなんとか脱出するために行動する展開が、二転三転してとても面白かった。アクション、バイオレンスの描写が凄い。
この著者の次作は『このミス2024年版』の1位らしい。

最初、あまり予備知識なく読み始めて主人公の姿形を白人男性だと思って頭の中に描いていたけれど、黒人が主人公の話だった。そういうところに自分の思い込みというものがあるのだなということにも気付かされた。

65/シックスティ・ファイブ

2023年、米国、スコット・ベック&ブライアン・ウッズ監督

6500万年前、惑星探査をしていた宇宙人は隕石群にぶつかり地球に不時着する。操縦士の男と少女だけが生き残り焼け残った帰還船に辿り着こうとするが、そこは恐竜が生息している世界だった。

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約90分の映画でお話は単純、登場人物も少なく、物語の目的も分かりやすくて面白くなりそうなものだけれど、大して面白くない。主役の操縦士を演じるのはアダム・ドライバーで、こんな有名な俳優がこんな軽い映画に出てしまうのだなあ、と思ってしまう。
不時着した地球で恐竜に追われながら帰還船のある場所に辿り着こうとして、そこに恐竜が襲いかかるけれど、あんまり怖くない。なんだか恐竜が小振りで可愛いせいかもしれない。
ティラノ的な大きな恐竜もでてくるけれど、そこもあんまり盛り上がらない。予想した程度のピンチが訪れて予想したような結末に向かう。
この映画、公開時は劇場で観ようかと思っていたけれど、ビデオ鑑賞でよかった。駄作みたいなことは言いたくないので言わないけれど、あんまり面白くなかったくらいの感想は言ってもいいと思う。しかし地球人が一人も出てこない映画は貴重かも。

ヴァチカンのエクソシスト

2023年、米国、ジュリアス・エイヴァリー監督作

ヴァチカンの主任悪魔祓いの神父はイタリアで悪魔祓いを行ったが、教会内で問題となる。一方、アメリカからスペインの修道院へやってきた家族の内、息子が悪魔に憑かれる。神父はスペインに呼ばれ少年に取り憑いた悪魔と対決することになる。

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悪魔祓いのお話なのでホラー映画だけれど、そんなに怖くない。でも結構面白い。悪魔祓いの神父を演じるのはラッセル・クロウで、アメリカ人的なピンチの時でも軽口を欠かさない的なキャラクターなのが良い味を出している。どこにでも可愛いスクーターで移動するのも良い。しかしイタリアからスペインまでスクーターで行くのは大変だったろうなとも思う。

またスペインの地元の神父との二人三脚ぶりもよくて師弟関係みたいになる場面では、仲間との成長という映画によくあるテーマに沿っているのもよろしい。

お話が単純で登場人物が少なくてシンプルなのも良いし悪魔との対決では結構派手なアクションもあって退屈しない、というか、かなり楽しい。

続編の製作が決定したらしいけれど、確かにそんなエンディングだったなとも思う。

 

グランド・ブダペスト・ホテル

2014年、米・独、ウェス・アンダーソン監督作

ヨーロッパの東端の国にあるグランド・ブダペスト・ホテル。ホテルのコンシェルジュとベルボーイはある婦人の死にまつわる騒動に巻き込まれる。

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この映画も2時間弱とコンパクトだけれど、作家の映画だなと思う。全ての画面の構図と色合いが計画されたもので、絵本か画集を見ているような趣がある。俳優の演技もそれに合わせてコミカル。俳優たちがセットの中で動き回る所作は計算されたものだろう。よくできた演劇という感じがする。ウェス・アンダーソンは本作の前後に『ファンタスティックMr.FOX』と『犬ヶ島』という人形アニメーションの作品を作っているけれど、そっちの方向へいくのも分かる。アニメーションは全てを設計して作り上げるものだから。

華やかな映像に対して物語にはあまり興味がわかない。以前見た『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』も映像の美しさに比して物語に惹かれるところはなかったので、ウェス・アンダーソンの映画はそういうものなのかも知れない。人形アニメの2作はとても面白かったけれど。