イスラームの日常生活/片倉ともこ 著

イスラームは,いまや第三世界にとどまらず地球的規模に広がっている.その世界観が,幅広い世代にわたって,十億もの人びとの心をひきつけるのはなぜか.長年,世界各地の実情を見てきた著者が,生活体系としてのイスラームを,断食,礼拝,巡礼などの基本的な生活習慣や,結婚・職業観などから語り,その真髄を解き明かす.

 

1991年の刊行、著者は民俗学博士。
イスラム世界での日々の生活が綴られている。イスラム教によってイスラム世界の人々がどのような考え方を持ち、それが生活にどのように表れているか。また巡礼や断食月といったイスラムに特有の行事を人々は意外と楽しんで行っていることも書かれている。
例えば、断食月には日の出から日没までいっさいの食物、飲み物を口にすることが禁じられている。しかし、夜になると彼らは大いに飲み大いに食べ、街の市場では灯りがまぶしく色とりどりの食べ物が並ぶ、そこには多くの人が繰り出してお祭りのような賑がある。断食だけを苦行だととらえると厳しい宗教だと思えるけれど、イスラムの人たちが行事として楽しんでいる雰囲気が感じられて新鮮な驚きがあった。

ただ、91年の本なので、そこに描かれているイスラム世界は80年代以前だろう。今の時代は随分変わっているかもしれない。日本だって80年代と今とを比べれば昔のほうが随分牧歌的だったと思えることはあるだろうから。ただし、根本的な考え方や行動様式は変わっていないかもしれない。どの世界にも色んなしきたりや年中行事があって、それを楽しむ術を持っていたりするものだ。

少し古い本だけれど、イスラム世界のことが垣間見えた内容でとても面白かった。