もう革命しかないもんね/森元斎 著

里山に移住した哲学者・アナキストによる実践的ゆるゆる「生活の哲学」入門講座。
「さて、どうしようか。お金はあっても生きていけるが、なくても生きていける。どこへ行っても、その人が必要とされ、その人の能力が発揮されるであろう場所は、ある」福岡のとある里山地域に移住した著者は、どのように「生活」を哲学=行為していったのだろうか。
拠点づくり/食料の確保/活動資金の得方/料理/日常のずらし方/お金の秘密/子育てと教育etc…
日常に根差した哲学を実践的、かつ等身大のことばで語る、革命日誌。

ちくま新書アナキズム入門』の著者による移住とその土地での貧乏暮らしを綴った内容。しかし著者はアナキストだからただの困窮した生活にはならず、着々と住処を拠点として強化していき、権威と権力と国家に頼らない生活を形作っていく。家探しも農業も独力でやりきって、貧乏でも美味しいものを食べて旅行にも行く。それらを子育てと並行しながらやるのだから馬力があるなと思う。
アナキズムの本によく出てくる相互扶助というものがここでも生きてくる。衣食住において近隣の仲間が助けてくれて、著者もそのお返しに行動する。美しい姿だと思うし、どこでもこうであればいいのになと思う。端的に楽しそう。

相互扶助というものに懐疑的なのは、町内会の役員をやっているからかも知れない。活動に協力してくれる人はいるけれど、逆の人も多い。町内会で清掃をしたり集合住宅のマナーを啓発したり町内会の活動によって住民が得られるメリットは色々あるが、そのメリットは享受するけれど労力を提供することはしないという人も多い。助け合いではなく、助けられることは受け入れるけれど助けるのには参加しないという。
経験的な感覚だけれど、困窮した人というのは助け合いができるけれど豊かになるとそれが崩れて利己的になるような気がするのだがアナキズムではそのようなことを解決しているのだろうか。みんなで貧乏になればいいやん、という考え方だろうか。まだアナキズムのことがよく分からないでいる。