アナキズム入門/森元斎 著

著名なアナキストを紹介しながらアナキズムとは何なのかを紐解いていく内容。

『くらしのアナキズム』という本を読んで、アナキズムというものを漠然としか分かっていない、いや、本当は何も知らない。そう思って「入門」と名のつく本を読んで見る。

紹介されるアナキストは、プルードンバクーニンクロポトキン、ルクリュ、マノフといった偉大なアナキストの先人。彼らの生涯を紹介するという内容だけれど、彼らの行動と思索がどのように始まって、どのように展開していったかはアナキズム誕生と重なるのだからとても分かりやすい。

というか、文章も少し砕けていてパンキッシュ。時折、歌詞の引用が挿入されていて「そのバンドのその曲がきますか」と感心する。ロックンロール。
読んでいて偉人たちの激動の生涯に感心もするが、権威と権力を嫌悪するパンク・スピリッツにあふれている。読んでいてとても元気がでた。
アナキズムが反権力と反権威であり自主独立であり、国家の抑圧を嫌うことが分かった。それこそ自分の望むものだ。もっと早くにアナキズムに触れるべきだった。

反権力を幼稚な思考だとしたり、かつての学生運動を例にとって老害の思想だと言ったりする一見物分りの良さそうな言い方があるが、そのようなものはすべてクソ。現実主義者のような顔をしているが現実を追認しているだけで、現実に洗脳されている。そんな人間には大きな改革も些細な改善も無理。ただ現実を認めてこのままの世界が続けばいいと願っていればいい。何も変わらない世界がお好みなら一生同じ場所で同じ生き方をしろ。何も見るな考えるな70まで平和に暮らせ。

本書を読んで、読むべき本が凄く増えた。著者の他の本も読んでみたい。まだアナキズムを知る端緒にいるだけだ。もっとアナキズムのことが知りたい。