2023-01-01から1年間の記事一覧

ヘレディタリー 継承

2018年、米国、アリ・アスター監督作 ミニチュア造形作家の女は母が亡くなっても悲しくなかった。夫と息子も同様だったが娘だけは祖母になついていた。しかし娘は不運な自動車事故によって亡くなってしまう。そして自動車を運転していたことで罪を感じた…

ハリウッド映画の終焉/宇野維正 著

#MeToo運動とキャンセルカルチャーによる映画関係者の排斥、マーベルなどのヒーロー映画、そして配信で映画を観ることが普及したことによって映画界はどうなっていくのかという映画評論家の著者による考察。 ハリウッド映画の終焉 (集英社新書) 作者:宇野維…

インキーパーズ

2011年、米国、タイ・ウェスト監督作 数週間後に廃業予定のホテルは幽霊が出ると噂のホテルだった。従業員の男と女は、片手間でホテルの業務を続けながら幽霊の痕跡を記録しようとしていた。そこへ有名女優だった女が宿泊するが、彼女は今は霊媒師なのだ…

サクラメント 死の楽園

2015年、米国、タイ・ウェスト監督作 カメラマンの男の妹はドラッグから抜け出すために厚生施設にいたが、やがて奇妙な教団に所属し、彼らの元で暮らしているという。妹に会うために教団を訪れるカメラマンに取材班2名が同行して取材することになった。…

ブラックフォン

2022年、米国、スコット・デリクソン監督 1978年、米国のコロラド州デンバー、児童誘拐が続く町で少年フィニーは妹と酒浸りの父と暮らしていた。そして妹は予知夢を見る少女でもあった。ある日フィニーは誘拐犯に連れ去られ地下室に監禁されてしまう…

X

2022年、米国、タイ・ウェスト監督作 1979年のテキサス、ポルノ映画の撮影隊は片田舎の農場の離れを借りて撮影をおこなおうとしていたが、その農場主は陰気な老夫婦だった。一行は、老夫婦に黙って映画の撮影を始めるが、夜になると撮影隊のメンバー…

ラストナイト・イン・ソーホー

2021年、英国、エドガー・ライト監督作 ファッションデザインの学校に入学したエロイーズは、郷里を出てロンドンの寮に入るが寮生活に馴染めず老婆の営む下宿で部屋を借りて一人暮らしを始める。しかしその部屋で毎晩60年代の夢を見て、そこに登場する…

文章読本/吉行淳之介 選・日本ペンクラブ 編

20名の作家による文章術の極意と心得 文章読本 (中公文庫, よ17-15) 中央公論新社 Amazon 谷崎潤一郎、井伏鱒二、川端康成、三島由紀夫、他、錚々たる文豪の書いた文章術が掲載されている。しかし良い文章を書く秘訣は分からなかった。もっと小手先のテク…

ジャパノイズ サーキュレーションの終焉/デヴィッド・ノヴァック 著

90年代に北米で注目され、独自の理想の音楽を実践する世界として「ジャパノイズ」と呼ばれるようになった、日本のアンダーグラウンド・ノイズ・ミュージック。ノイズの多様性に、そのありのままの創造性に迫る、日本の第一線で活躍するノイジシャンと興隆…

カード・カウンター

2023年、米国、ポール・シュレイダー監督作 刑務所でカード・ゲームを覚えた男は、出所後は各地のカジノを渡り歩いて暮らすギャンブラーとして生きていた。腕を見込まれ、スポンサーとギャンブラーをつなぐスカウトの女に大きなポーカーの大会に誘われる…

薬菜飯店/筒井康隆 著

神戸の路地裏にあった薬膳を出す中華飯店に入った男は驚愕の料理に出会うことになる。表題作含む6編の短編と俵万智の『サラダ記念日』のパロディ『カラダ記念日』を含む短編集。 薬菜飯店(新潮文庫) 作者:筒井 康隆 新潮社 Amazon なぜか久々に筒井康隆を…

無名仮名人名簿/向田邦子 著

向田邦子が出会ってきた人物や事物に関するエッセイ集。 古書店で購入しました。別に他意はないのです。向田さんはもうお亡くなりになっているから、新刊で買わなかったからといって怒ったりがっかりもなさらないだろうし。今、書店に並んでいる文庫本は「新…

自炊。何にしようか/高山なおみ 著

料理家、高山なおみさんの一人暮らしのための料理本。 自炊。何にしようか 作者:高山 なおみ 朝日新聞出版 Amazon 特別な料理のレシピは載っていないのです。餃子だったり焼きそばだったり焼き茄子だったり、そういう日々の食事のためのレシピ本。でも「あ、…

保守主義とは何か/宇野重規 著

保守主義の源流から、その変遷、そして本邦における保守主義を概説する書。 保守主義とは何か 反フランス革命から現代日本まで (中公新書) 作者:宇野重規 中央公論新社 Amazon 先般『リベラルとは何か』という本を読んだ。そっちを読んだなら対立する側の言…

この世の喜びよ/井戸川射子 著

ショッピングモールの喪服売り場の店員として働く女が主人公。向かいのゲームセンターで働く若い店員やそこにいつもいる老人、フードコートにいつもいる中学生の女子と関わり合いながら主人公は昔のことを思い出したりする。 第168回芥川賞受賞作。 この…

嘘と正典/小川哲 著

後にカール・マルクスと共著で『共産党宣言』を著すフリードリヒ・エンゲルスは英国で工場暴動の首謀者として裁判を受けていて、決定的な証人が入廷しようとしていた。一方、冷戦時代のロシアでCIAの工作員はロシア人科学者と接触し国家的な重要機密を受け取…

リベラルとは何か/田中拓道 著

リベラルと呼ばれる思想がどこから来たのか、そして世界情勢と時代の変化によってどのように変遷して、現在は如何なる思想となっているのかを解説する本。 とても分かりやすく為になる本だった。 左翼という言葉があまりにも雑に使われているといつも思って…

空想の海/深緑野分 著

11の短編集。 空想の海 (角川書店単行本) 作者:深緑 野分 KADOKAWA Amazon 深緑野分さんという作家の著作は『スタッフロール』という小説を読んで大層感動したのだった。この作家の他の著作を読みたいと思ったし、そのまま読めばいいのだが、何しろ家に積…

侠拳/若野康玄 著

関西で右翼団体に所属し、山口組傘下の組幹部でもあり、空手家であり格闘技振興にも尽力した著者の知る関西における右翼と暴力団の関わりが綴られた本。副題は「関西右翼・ヤクザ関係秘史」 俠拳 関西右翼・ヤクザ関係秘史 作者:若野康玄 徳間書店 Amazon 何…

STOCKHOLM/Chrissie Hynde

Pretendersのフロントウーマン、クリッシー・ハインドの2014年の初ソロアルバム。 STOCKHOLM アーティスト:HYNDE, CHRISSIE Will Travel/hostess Amazon プリテンダーズ、と言ってどのくらいの人が知っているのだろうか。オールドロックみたいな括りなの…

WOKE CAPITALISM 「意識高い系」資本主義が民主主義を滅ぼす/カール・ローズ著

現代では、大企業や富豪が社会運動に理解を示し、賛同の意思を広告媒体などを使って意思表示している。そして少なくない金額を寄付して資金的にも社会運動を援助している。このような大企業や富豪たちの行動をウォーク資本主義と呼び、その成立経緯と問題点…

The Peel Sessions/Teenage Fanclub

スコットランド、グラスゴーの至宝、Teenage Fanclubによるピール・セッション。1991年リリース。 日曜日の午前中は町内会の用事。帰ってきてから食事を摂ったり部屋の片付けなどをしながらラジオを流して聴いていたけれど、なんだか今ひとつ面白くない…

Tapes 1991-1994/MONDE BRUITS

大阪、岩崎昇平氏のノイズユニットMONDE BRUITSがリリースしたカセット作品の復刻CD。 収録されているのは DISC1/Irrresponsibility/1991年DISC2/Portuguese Man-Of-War/1991年DISC3/Purgatory/1992年DISC4/Psychosomatic Performance/…

エルヴィス ’68カムバック・スペシャル/前田絢子 著

1968年にクリスマス特番としてテレビ放送された『エルヴィス』。後に『’68 カムバック・スペシャル』と言われ、エルヴィス・プレスリー復活の契機となったこの番組の裏側を描く書籍。 エルヴィス、'68カムバック・スペシャル 作者:前田絢子 青土社 Ama…

ワイルド・スピード/ファイヤーブースト

ワイスピシリーズ最新作。今回の悪役は『MEGA MAX』で適役だった男の息子。 www.youtube.com もうしんどなってきた。ワイスピシリーズは全作見てる。カーアクション映画は大好物だから。しかしもうしんどい。もうお腹いっぱい。キャラクターもいっぱい出てき…

Kukangendai “Tracks” Release Live Series

昨夜はこれに行ってきました。 《Kukangendai “Tracks” Release Live Series》5月20日(土)空間現代 開場 19:00 開演 19:30予約 1,000円 当日 1,500円https://t.co/eQMoMOE1Ik pic.twitter.com/eMT3grqeb7 — 空間現代 (@kukangendai) 2023年5月16日 空間現…

街の人生/岸政彦 著

本書には5名のライフヒストリーが収録されています。子どものころに南米から日本に移住し、やがてゲイとしての自分に気づいた人。夜の世界でなんとか自分の生きる場所を切り開いてきた「ニューハーフ」。満州で生まれ、波瀾万丈の人生の果てに大阪でホームレ…

そしてミランダを殺す/ピーター・スワンソン 著

空港のバーで若く美しい女性と出会った実業家の男は、彼女とは二度と会うことはないだろうという思いから、妻が浮気をしていて殺してやりたいと思っていることを話してしまう。しかし女は意外にもその殺人に手を貸してもよいと提案する。『このミス2019…

TAR

2023年、米国、トッド・フィールド監督作 華々しい経歴を持ち、ベルリン・フィルで女性として初めて主席指揮者となったリディア・ターは誰もが才能を認める人物だった。レズビアンである彼女は、妻との間に養子がおり、私生活でも充実しているようだった…

宇宙へ/メアリ・ロビネット・コワル 著

第二次大戦が終わって間もない1952年、米国東海岸に巨大隕石が落下して多くの死傷者を生む。夫と共に生き延びた科学者エルマは、隕石落下の影響で地球が人類の生存に適さないほど環境が変化することを予測する。世界は協力して地球外へ脱出するべく人類…