筒井康隆、自作を語る/筒井康隆 日下三蔵・編

日下三蔵さんをインタビューアーに迎えてSF作家の御大、筒井康隆が自作について語る本。 

筒井康隆、自作を語る (ハヤカワ文庫JA)

筒井康隆、自作を語る (ハヤカワ文庫JA)

 

 

筒井康隆コレクション>というシリーズの刊行を記念してトークショーがあり、その内容を書籍化した内容になっている。話し言葉なのですらすらと読んでしまう。

筒井康隆の作品は、初期のものは中学生の頃によく読んでいた。SFが好きだったのと、はちゃめちゃで不道徳な感じが面白かったので。
筒井作品からいつ頃離れてしまったのかと本書を読みながら考えていたら恐らく『虚人たち』のあたりで、それ以降の作品はあまり読んだ記憶がない。それ以前のものも内容は殆ど覚えていないけれど。
読んでいると『虚人たち』以後は文学誌での発表が増えている。SF小説、中間小説というものから文学へ筒井作品がシフトしていった頃で、その頃の自分にはそういうものが理解出来なかった、読みたいと思わなかったということだろう。『虚人たち』は確かに中学生の自分には理解できなかった。何だか異様な雰囲気だけが記憶に残っている。

小説以外にも戯曲を書いたり童話を書いたり、俳優として映画にも出演しているし、テレビのバラエティにも出ている。一時の断筆宣言なども御本人は、何れ出版社が放っておかないから執筆依頼が来る、と面白がっていたようだ。
まったくもってエネルギッシュで精力的な人で、そういう人でなければ作家なんて職業は通用しないのだと思わせるし、そういう人だったから今も現役で活躍している人なのだろうと思う。

読んでない筒井作品が多数あり、読んでみたいという本も多数ある。『虚人たち』を今読んでどう思うのかも確認してみたい。