地獄への潜入 白人至上主義者たちのダーク・ウェブカルチャー/タリア・ラヴィン 著

白人至上主義、反ユダヤ、人種差別主義者、ネオナチ、そういった人々が集まるウェブサイトに潜入して彼らの主義主張を報告する書。

 

米国人の著者がインターネットの辺境のような白人至上主義者たちのウェブサイトに入り込んで彼らが何を言っているのかを観察している。
著者はユダヤ人の女性でフェミニスト、これほど右翼男性に拒まれ忌み嫌われる存在はないと思うが、彼女はインターネットで様々な嫌がらせ、誹謗中傷を受けつつも偽名で極右たちが集まるウェブサイトに潜入して彼らが何を言っているのか、何を求めているのか、どういう世界を実現しようとしているのかを報告してくれる。

まあ、気分の落ち込む読書ではある。だってネトウヨ、米国の呼び名で言えばオルタナ右翼といった人たちがどういう思想にかぶれて、何を言い、何をしでかすかということだから。彼らの主張は情けない考え方だとしか思わないが本書はネトウヨにすれば反感しか抱かないだろう。
白人至上主義者という人たちの反ユダヤというものも興味深い。キリスト教と聖書に由来すると思われる、聖書根本主義者や勘違いしたキリスト教徒にユダヤ人に対する反感と差別が底流にあるのがよく分かる。

日本のネトウヨに比べて米国のオルタナ右翼がアグレッシブなのは銃の存在だとしか思えない。オルタナ右翼が危険で過激な思想に振れるのは日本のネトウヨも同じだが、米国のオルタナ右翼は、そこで武装して銃を持ち恣意行為に訴えかけるところが違う。シナゴーグやモスクを襲撃したりする行動力の背景には銃がある。

ダークウェブカルチャーへの潜入捜査だと分かっているけれど、著者が白人女性を演じて標的から情報を引き出す場面は少し心が痛む。相手が過激な極右だろうが、男ならば女性を求める気持ちはあるのだから、その気持ちを利用するのは少し卑怯。これは男だから感じるのかもしれないが。

今はイスラエルによる過剰なパレスチナへの報復がニュースになる時代だけれど、一部のキリスト教徒の底流にユダヤ人への蔑視があるという意味で読んでおいてもいいのではないだろうか。

世界は複雑だ。