社会学はどこから来てどこへ行くのか/岸政彦、北田暁大、筒井淳也、稲葉振一郎 著

社会学に関する社会学者たちの対談集。

 

社会学者の誰が何を言ったのか知らないが炎上していた模様で、その際に社会学者と社会学を貶めるようなことを言う人もいたようだ。「社会学なんていらない」などと主張するのは「三角関数なんかいらない」と発言した国会議員と同じくらい愚かなことだと思うけれど、社会学というものをどんな学問なのか理解しているのかと言われればいささか心許ない。というわけで読んでみた一冊。

しかし門外漢の自分には難し過ぎた。これは社会学を勉強したり、研究している人たちが読む本だろう。前提として、社会学というものはどういうものかを知っている人が、それよりも深いところで議論する内容の本だと思う。
構築主義」や「エスノメソドロジー」といった耳馴染みのない言葉がたくさん出てくるし、人物名にしてもプルデュー、ルーマンウェーバーなど、その人たちの著作も功績も知らない。そういう基礎知識がある人が読むべき本なのだろうと思う。
しかし社会学の方法として質的調査と量的調査というものがあるのはなんとなく分かった。もうひとつ分かったのは、自分にはもっと初学者向けの「社会学入門」みたいな本を読んで見るべきだということが分かった。

銀河の星々を観測する天文学があるように、地球の気候や環境を観測している科学者もいる。そのような自然にあるものだけでなく、人間が作り出した現象や事象も観測すべきで、経済学は人間の社会的活動の経済的側面を観測しているし、政治学もその通り。だったら人間の「社会」を観測する人たちも必要だろう。
自分たちは群衆の群れの中の一人だから、その全体像は分からない。それを調査して俯瞰して「社会はこうなってますよ」と言ってくれる人は必要だろうし、自分たちには知り得ない集団やマイノリティの内部に入って、その実情を報告してくれる人も必要ではないか。それも社会の一部なのだから。
社会学なんて必要ない」なんてのたまう人はどういう人たちなのかという社会学的調査と考察が待たれる。