変!!/中島らも 著
中島らもが、身の回りや世の中の変な物や者を取り上げて、それを面白可笑しく料理してしまうというコラム。1989年刊行なのでもう随分昔のものになるけれど、今でも気楽に読めて十分面白い。
ポリコレだとかコンプライアンスだとかでお笑いが窮屈になるなんて言い方がされて、この本のように「変」なものを取り上げてそれを笑うということになると、まさしく引っかかりそうだけれど、この本で紹介されるものにはあまり関係がないように思う。それは著者の「あとがき」のこんな一文を読んでもらえれば分かるのではないだろうか。
この本も、僕がひっかかった「変」をその都度書き止めて身の養いにしたものであって、追っかけてあばきたてたものではない。だからそうむちゃくちゃに「変」なものははいっていないとも言える。
「追っかけてあばきたてたものではない」というところが大事だろうなあと思う。
何かを「変」だと思うには常識から外れていると思うからだろうけれど、それを晒し者にしたり笑い者にしてやろうという意図が文章から感じられない。「ちょっと変わってはりますよね」くらいの感じでしかない。そして、その変な対象よりも愚かな自分も晒しているし、身を削っている。
ほのぼのと可笑しく気楽に読める。中島らもという人はこういうコラムを無数に書いていた人だという印象がある。いつまで経っても読めるあまり古びない可笑しさがある文章だと思う。