ワンダー 君は太陽

2017年、米国、 スティーブン・チョボスキー監督

生まれつきの遺伝子疾患と度重なる手術で人とは違う顔の少年は、自宅学習を続けていたが母親の勧めで初めて学校に通うことになる。そこでは同級生に奇異にみられたり避けられたりする。

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個人的に映画評論家の中ではかなり信頼度の高い松崎健夫さんがこの映画を絶賛していたけれど、どうせお涙頂戴の難病ものなんでしょ?そんなの観ないからね、みたいに思って敬遠していたのです。でも、珠にはそういう映画もいいか、なんて気分で観始めたらボロ泣き。そういう映画じゃないのでそういう映画だと思ってる人は観て!めっちゃ良い映画だから。松崎健夫ごめん俺が悪かった。

子供の世界というのは残酷で、ポリティカルコレクトネス的な差別しないとか平等でいようとか、そういう考え方はまだ身についてない。剥き出しの野性と言うと言い過ぎだけれど考えるより感性で物事を判断して行動しがち。でもそんなことは誰も責められない。だって子供だから。そういう時期は誰にでもあるから、大人になる過程でそういう意識を学んで身につけていくものだから。大人になっても身につけてない人も世の中には沢山いるけれど、それはまあおいておきましょう。言うても仕方ないから。

主人公のオギーは最初、同級生からその見た目のせいで避けられるけれど、成績優秀で、そんなことから友達ができて、でもその友達にちょっと裏切られたり、仲直りしたりという子供らしい成長を遂げる。その過程が見ていて胸にぐさぐさくる。
何の屈託もない子供時代を過ごした人っているのだろうか。自分のことで思い出したのは同じ年の韓国人の子で、小学生の時は結構仲良くしていて一緒に映画を観に行ったりしていたけれど中学になるとその子は悪くなってそれを悪く言う人がいたり自分も疎遠になったりして、そういうことを思い出した。どっちかというと裏切った子の気持ちが少し分かる。胸が痛い。

オギーには姉がいて、彼女は両親が弟ばかりを気遣うので少し淋しい思いをしていることも描かれている。でも彼女は演劇部に挑戦して舞台で拍手を貰い、それを両親が暖かく見守るという様も描かれている。難病の主人公の話だけでなく兄弟の話や家族の話も描かれてる。

生まれつきのハンデを克服して普通の少年として過ごすという、ある意味での成功譚が主軸だけれど、子供時代の友情や、親が子供をどう大事に思っているかという家族劇でもあって色んな感情が入り混じる感動的なお話です。騙されたと思って観てみて。良い話だから。

あと、ジュリア・ロバーツがオギー少年の母親役なんですが、プリティ・ウーマンだった彼女が母親役をやる年齢になったんだなあ、みたいな感慨もあります。まあ余談ですが。