ロスト・ボディ

2012年、スペイン、オリオル・パウロ監督作

裕福な投資家の女性が心臓麻痺で亡くなった。しかし、彼女の遺体が安置所から消えて無くなっている事が分かる。警察は捜査に乗り出し、彼女の若い夫を疑う。夫は若い女性と浮気をしていて離婚せずに妻をなきものにしようと毒殺していたのだったが、死体の行方については彼の犯行ではなかった。誰が何の為に死体を持ち去ったのか、それぞれの思惑が入り乱れる。

www.youtube.com

スペイン製のスリラー映画。
誰が死体を隠したのかという犯人探しが物語の焦点になるので、ネタバレはしないけれど意外な結末だった。伏線だとは、よもや思われないことが伏線になっていて、少し唐突な感じはあったけれどとても面白かった。

スペイン映画なんて殆ど観たことはない。思い出せるのはビクトル・エリセの『ミツバチのささやき』くらいで、あれはスペイン内戦の映画だったと思う。
本作は現代劇の娯楽作品。芸術映画ではないので分かり難い解釈がどうだとかは全く無い。約2時間、映画のリズムに合わせてハラハラして楽しませてくれる。

登場人物たちがスペイン語でなく英語を話していればアメリカ映画と言われても信じたかも知れない。でもスペイン語の会話の響きがとても新鮮で、風景、部屋の調度品、なども少し米国の映画とは違う感じがあってそういうところも興味深い。
映画のリズムやテンポは監督、編集などによって違うのだからお国柄ではない気もするが、やはりアメリカ映画とは違う少しゆったりした感じがある。
ところどころで意外な方向に展開する場面があって、ハリウッド映画ならもう少し扇情的な音楽や効果音が流れたりする派手さがあるんじゃないだろうか。そういうところが少し控え目なのかも。

フランス映画もドイツ映画もイタリア映画もあまり紹介されることがないような気がする。ましてやスペイン映画なんて。各国に色んな娯楽作品があって、その国に独特の雰囲気を持った映画があるのだろうけれど、輸入されるのは米国映画が圧倒的に多くて、そういうのばかり観ている。確かにアメリカは映画大国だけれど、他の国にもこういう面白い映画があるのだから観てみたいし紹介して欲しいなと思うのでした。