ヘイトフル・エイト
2015年、米国、クエンティン・タランティーノ監督作
南北戦争後のアメリカ。賞金稼ぎの男は、駅馬車を貸し切って女犯罪者を町へ連行していたが、その途中で黒人の賞金稼ぎと新任の保安官を相乗りさせることになった。
駅馬車は、吹雪で町へは辿りつけず、途中にある店に停車することになった。そこには女主人の代理人、カウボーイの男、絞首執行人、南軍の元将軍がいた。
吹雪で外に出ることもできないまま、誰もがそこにいる人間を不審に思いつつ過ごすことになる。
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8人の男女がお互いを会話で探りあい、驚くような結末に転がっていくというお話。舞台は吹雪に閉じ込められた建物の広間だけで舞台で上演できそうなお話でもあった。端的に言えば会話劇。でもタランティーノの映画ってずっとそうだったかも。
思い出すのは、シドニー・ルメット監督作の『十二人の怒れる男』で、陪審員の男たちが裁判の判決について討論するという映画だった。50年代の白黒映画だけれど無性に面白かった憶えがある。
『ヘイトフル・エイト』も同じように密室で人間たちの会話で物語が進展するお話で、今時の派手なアクション映画からすれば地味といってもいいような内容だが、とても面白かった。登場人物たちの中に善意が希薄なのが『十二人の怒れる男』とは真逆だけど。
お話の顛末の面白さは脚本による功績だけれど、俳優陣の迫力を堪能する映画でもあると思う。会話とその立ち居振る舞いだけで物語を見せるなんて俳優の力がなければ成り立たないと思うから。