良いテロリストのための教科書/外山恒一 著

現代のファシスト外山恒一氏が語る日本の新左翼史。 

良いテロリストのための教科書

良いテロリストのための教科書

 

 

外山恒一氏を2007年の東京都知事選での政見放送で覚えている方もおられると思う。

www.youtube.comしかし彼はこれだけの人ではない。今も偽選挙活動などと称して、選挙期間中に「外山、外山でございます」と立候補もしてないのに車で回ったりしているような人である。どうも面白い方向に表現してしまう人だけれど、思想家としてそれなりの人なのだ。

第五回外山恒一賞として宮崎の『サルママ』というミニコミを取り上げているが、その受賞理由が書かれた文章に

そりゃ東京や京都にでも出りゃ“面白い”人やモノにいくらでも出会えるでしょうよ。しかしそれはオマエが生み出した“面白さ”じゃないだろう。どこでもいいが、とりあえず自分がいるところを“面白く”できないような奴はしょせん消費者なのだ。宮崎くんだりで生まれた『サルママ』を読んで反省しろ。

とある。けだし名言だと思う。

第五回・外山恒一賞 受賞者発表|我々少数派


そんな外山恒一の最新著作は、なんとあのネトウヨ御用達の出版社、青林堂から出ている。本屋さんでも嫌韓や某下衆美容外科の本と並んで置いてあった。
内容は、ネトウヨ新左翼の歴史を概説するというもので、架空のネトウヨ個人を想定して彼に新左翼の歴史を説明するという体になっている。なので架空インタビューのような形式で、この構成のおかげでとても読みやすい。

共産党から学生運動華やかなりし頃の諸派など名前を聞いたことがあるブント、革共同革マルノンセクトラジカル、東アジア反日武装戦線など、どういう出自の人達なのかが解説されていてとても面白い。新左翼史をこれほど分かり易くかつ面白く解説した本はなかったのではないだろうか。

ネトウヨに「敵を知れ」という意味で左翼史を解説する内容なので当然だとは思うが、ちょっと外山氏はネトウヨに気を使いすぎ、優し過ぎじゃないかと思いながら読み進めたが、終盤ではネトウヨたちの主張に論理性が掛けていることをあげつらい苦言が満ちていて外山恒一が決してお仲間ではないことを示している。しかしネトウヨなんて論理的整合性に悩んだりしないんだから言っても仕方ないし感情で反発するだけだよな、とも思う。ネトウヨがこの本を最後まで読んで影響されればそれに越したことはないだろうけど