Asian Meeting Festival 2017@京都METRO

昨年に続き開かれた、アジア各国から集まった即興、前衛、実験音楽家たちが共演する大饗宴。

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出演は
dj sniff(香港)香港在だが日本人/キューレーター
ユエン・チーワイ(シンガポール)/キューレーター
C. スペンサー・イェー(ニューヨーク)台湾生れ
イ・カホ(クアラルンプール)
カリフ8(マニラ)
グエン・タン・トゥイ(ハノイ
張惠笙(台南)
ムジカ・テト(ヤンゴン
アーノント・ノンヤオ(チェンマイ

ここに日本から
YTAMO(京都)
YOSHIMIO(奈良)
中田粥(大阪
岡田高史(岡山)
が加わって即興演奏を繰り広げるのです。

会場には遅刻して到着。京阪電車が止まってて。四条から神宮丸田町まで歩いたよ。

■張惠笙×ムジカ・テト×アーノント・ノンヤオ×YTAMO
張惠笙は女性のボイスパフォーマンス、ムジカ・テトはコントラバスを横倒しにして弾き、アーノント・ノンヤオはエレクトロニクスの機材とカメラで音と不思議な映像を照射していて、そこにYTAMOのシンセが絡み合う展開。ムジカ・テトの音が最初はよく聴こえなかったが慣れてくると次第にその音が浮き彫りになって演奏の展開をリードしているような雰囲気もあった。アーノント・ノンヤオの演奏はノイズと言えるものだと思うが、タイにもノイズの人がいるのが心強い。演奏後のムジカ・テトの笑顔がとても印象的。

■ユエン・チーワイ×グエン・タン・トゥイ×YOSHIMIO
ユエン・チーワイはエレクトリックギターを弓で弾き、グエン・タン・トゥイはベトナムの琴を弾く。そこにYOSHIMIOのドラムと声が混ざり合う。グエンは琴を弓で弾いたりボデイを叩いてリズムを奏でたりあらゆる奏法で演奏していた。小柄な女性だったけれど見ていてとてもエネルギッシュ。

■C. スペンサー・イェー×イ・カホ×中田粥
C.スペンサーは最初ボイスパフォーマンスから入って途中からヴァイオリンへ、イ・カホは中国のフルートを数種類持ち替えて次々に演奏、そして中田粥は剥き出しの基盤でできたシンセ(?)を塔のように組み合わせて予測不能なノイズを発信していた。中国の笛の音なんてこの演奏の中では埋もれてしまいそうなものだけど、きっちり存在感を示していた。そしてC.スペンサーのヴァイオリン演奏は凄い。あんなヴァイオリン聴いたことない。

■dj sniff×カリフ8×岡田高史
3組目の演奏終盤から続けて最期の組の演奏が始まった。dj sniffはターンテーブル、カリフ8はサンプラーとミキサーを縦横無尽に駆使して爆音を紡ぎ出し、岡田高史のドラムがロック的なダイナミズムを生み出す。ロック・ノイズとも言えるような演奏で圧巻だった。カリフ8は手元を見てると滅茶苦茶な巧者で貫禄があってこの人は本当に凄い人だと直感した。dj sniffはターンテーブルを叩いたり打ち付けたりして演者の方もかなりヒートアップしていたと思う。

全ての演奏が終わると出演者がバーカウンターで談笑しているのも微笑ましい。カリフ8がいたので「you the best!」って伝えたけど意味は通じただろうか。握手してくれたけど。彼のカセット作品も物販で買った。

このツアーは福岡、京都、仙台、札幌で行われます。普通、海外から演者を招いて日本をツアーするとなれば東京では必ずやると思うのだけれどそれがない。昨年、一昨年のこのフェスでは勿論東京での演奏はあったのだけれど今回はない。
アジア各国なんてパリ、ロンドン、ニューヨーク、東京といった世界の中心都市からすれば地方のような周辺だろうけれど、そこから集まって来た人たちが日本の地方をツアーして回るということがとても面白いと思うのです。なんだか東京に対して「地方でも面白いことやってるんですよ」と言ってるみたいで。これはこのフェスの総合監督である大友良英さんが現在、札幌芸術祭のディレクターを行っていることからもそういう思想があるんじゃないだろうか。大友さんは京都のAM放送であるKBS京都で長らく深夜のラジオもやっているし、福島でのプロジェクトにも参加していて在東京の人ではあるけれど地方人としての視点も持っている気がするのです。
東京が中心であることには異論を挟む余地はないのだけれど、アジア最先端の音楽が東京以外で演奏されるということに少しシニカルな目論みがあるあると思うのは穿った見方でしょうか。

asianmusic-network.com

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