浮き雲

1996年、フィンランドアキ・カウリスマキ監督

路面電車の運転士の男は不景気のあおりでリストラにあってしまう。男の妻はレストランで給士長をしていたがレストランの経営者が変わってしまい、こちらも職を失ってしまう。二人はあたらしい職を探すのだが……

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日本映画なら人情喜劇とでもいうような作品だが、日本映画と違って湿っぽさはない。妻が新しく働き始めた安食堂は税務調査が入り店を開けられなくなる。夫は経営者に妻が働いた分の給料を貰いに行くが殴られて散々な目に会う。結構悲惨な出来事だけれど、乾いたタッチで描かれるのでお涙頂戴にならないところが素晴らしい。結末も離れ離れになった仲間が再び集まって再起するというお話で鑑賞後の気分もあざやかなものだった。

本作は『過去のない男』、『街のあかり』と連なるフィンランド三部作の一作目。どれも明るい話ではなかったりするけれど、テンポが心地良くてずっと良い気持ちで観ていられる。まだ三本しか観てないけれどカウリスマキ映画は良い。