ROCK’N’ROLL INFERNOS/GASOLINE

(写真は大きさの比較のために過去の7”(左)を並べています。当該アルバムは右です)

その日、俺は確かに気分が沈んでいたのだ。苛々していた。

役所の窓口では「そんな言い方しなくでもいいじゃないですか、こっちが低所得者だと思ってナメてるんですか?」と思ったし、生活の困窮のために定期預金を解約しようと思って銀行に行くと綺麗な行員さんが「予約のお客様優先なのでWebで予約していただければスムーズにご案内できます」と言われてスマホでWebサイトにアクセスしたが、ログインさえできない。俺の金なのに自由にできない。どうすりゃいいのよ!
自宅への帰路、これではいけない何か解決方法があるはずだ、真剣に考えなければいけない、貧乏に殺される前になんとかしなければ、危機に直面した人間は火事場の馬鹿力以上の力が湧いてくるはずだ、そう思うと得体の知れない力が心の内から沸き起こってきたがその力を少し遠すぎるけれどお手頃価格でお酒を売っておられるリカーショップに行くことに費やしてしまった。
部屋に辿り着いても疲労と一日のストレスはわだかまっている。年末になけなしの金でCDを買ったのにプレイヤーが動かないから聴けないのが原因だ。CDプレイヤーの馬鹿。SONYのアホ。
日中のストレスを腹立ち紛れにSONYにぶつけるべくあらゆるボタンを必要以上に強く押してみた。買ってきた安酒をあおっているから装置を破壊してしまう恐れもあったが知ったことか。そしたらキュインとかいって動くじゃないの。なんだよ可愛い奴め。やっぱSONYだな。そんなこんなで『ROC’N’ROLL INFERNOS』をやっと聴くことができたのだ。

開幕の1曲目、心が浮き立つ。ああこれなんだよ、そういうことなんだよ。GASOLINEのライブを見た時の感触が湧き上がる。3曲目は素朴なメロと日本語の歌詞で、アコギで歌うストリートミュージシャンを思わせるが、歌詞はウォッカへの愛を歌うもの。タイトルは「ウォッカに罪なし」。そう、酒に罪はないし、もっと言えばロシア市民にも罪はない。プーチンが悪い。プーチンウォッカを飲むな!絶対だぞ!短い#4、#5、パンクってのは短編小説なんだよ!#6のタイトルは「サイゼリヤ最高」。冒頭は「サイゼリヤ最高 暗闇を切り裂く雷のよう 行きましょうOhYeeh  緑と赤の店へ」と始まる。サイゼに雷のように行ったことはなくチェーンの錆びた自転車でギィギぃいいながら行ったことしかないが、サイゼは昼間からワインとか飲めますからね。#7はラップ。#8,9は最高。その後は酔ったぱらってきて楽しかったことしか覚えてない。そしてもう一回聴き直そうと思ったけれどCDプレイヤーが再生してくれない。SONYのバカ!

GASOLINEは2022年の年末にレコ発ライブで何度か大阪に来てくれていたけれど、行けなくて年明けの難波Meleでやっと見ることができた。ライブではパンイチになって酒を煽って、まったくこのうえなく全方位的に正しく楽しいライブだった。俺は彼らの歌が好きなんだ。
会いに行けるアイドルとか言ってるけど、会いに行けるガレージパンクを聴きに行くべきだと思うよ。最高だから。お家で聴きたいだろうけれどSpotifyになんかないぞ!買って聴け!泣きなしの金で明日の酒を偲んで買って聴け!