人生は驚きに充ちている/中原昌也 著

小説、対談、ルポ、日記、エッセイと色んなジャンルの中原昌也の仕事集。

 

こんな本ってあまりないのではないだろうか。
中原昌也と言えばノイズ・ミュージシャンだけど、小説家としても既に色んな賞を受賞しているし、映画に関する書籍も出ている。けれどこんな風に小説、対談、ルポ、日記、エッセイと、ごった煮のようにまとめた本は中原昌也以外でもあまりないのではないだろうか。最近の文筆の仕事をまとめました、という感じでもない。掲載されているもので一番古いのは古井由吉氏との対談で2006年だから。
どれもまあ中原昌也らしいけれど、小説が一本しか入ってないのが残念。中原昌也の小説が好きだから。
他に面白かったのは、『戒厳令の昼のフランス・ツアー日誌』というコロナ禍の直前にフランスへ演奏旅行した時の日記。『中原昌也 作業日誌』を思わせる楽しさ。あちこちでレコードや本を買ったりしているのだが、そこで出てくる固有名詞は殆んど分からない。唯一スロッピング・グリッスルの名前が分かるくらい。『作業日誌』でも膨大なアンダーグラウンドの音楽家の名前が出てくるけれど殆んど分からなかった。でもなんだか面白いのですよね。なぜ面白いのかよく分からない。『作業日誌』もとても面白く読んだ記憶がある。

中原氏は現在病気療養中のようです。また良くなって小説を書いて欲しいと思ってる。中原昌也という人の書く小説は誰の書くものにも似ていないと思うから。