復讐の記憶

2023年、韓国、イ・イルヒョン監督作

高齢になってもレストランで勤勉に働く男は、同僚の若い男に車の運転を依頼する。若者は喜んで引き受けるが、老人は復讐のために5人の男を殺そうと企てていた。

www.youtube.com

韓国映画。日本占領時の因縁を晴らすべく老人は復讐の旅路に若者を巻き込み、若者も止事無き事情で彼に協力せざるを得なくなる。その復讐が果たされるのか、その前に警察に捕まってしまうのかというスリルのある犯罪劇になる。

若者に運転を依頼する車は真っ赤なポルシェで凄く絵になるのだが、ポルシェである必然性は今ひとつない。でも絵になる。
老人を演じたイ・ソンミンは80代という設定だが1968年生まれで今(2023年)には60歳にもなっておらず、到底その年齢には見えない。しかし80代でも日本占領時に日本軍に志願するという年齢なら設定がおかしいのではないかと思われる

と、設定と物語の上で詰めが甘いのではないかと思わせる部分は多々あるが、追いつ追われつの娯楽映画としては楽しい。殺される老人たちから警察は早々に共通点を見つけ、主役の二人は警察にマークされるが、それをどう交わしながら復讐をやり遂げるのかというスリルに引っ張られる。

映像に芸術映画のような深い色合いはないが、それでも韓国映画らしいシャープさがある。そして社会と歴史を背景とした物語もあって楽しんだ。日本映画で二次大戦の因縁をこんな風に描いた作品はないと思う。やはり韓国映画は優秀だと言わざるを得ない。