新版 日本語の作文技術/本田勝一 著

新聞記者出身の著者が解説する分かりやすい文章を書くための作文術。

 

文章が上手いと言われなくてもよいけれど、分かり難いとは言われたくない。名文家を目指しているわけでもないが、他人に自分の言おうとしていることが誤解なく伝えられるような文章は書きたい、そう思ってこういう文章作法、文章技法の指南書などを読んでみるわけだけれど、まあ読んだ端から忘れていってしまうのですね。

ただこの本はとても分かりやすくて参考になることも多かった。例えば

 白い紙

 横線の引かれた紙

 厚手の紙

これをまとめる時に

 白い横線の引かれた厚手の紙

よりも

 横線の引かれた白い厚手の紙

の方が誤解はないと思われる。これには事物を修飾する語順をある規則にしたがわせると良い、というようなことが書かれている。こういうちょっとした技術は参考になる。

このような文章を書くうえで注意した方が良いこと、役に立つことが書かれている。読んでいる間は「ふむふむ、なるほど」と思って読んでいる。けれど、やっぱりこういう技術論は頭の中に入っているわけではだめで、それが血肉になってないとダメなのだろうなと思う。キーボードをタイピングしている時に頭で考えているようではダメで、良い分かり易い文章の書き方というものが自然とできるようになってなければいけないのだろうな。そうなるためにはやっぱり練習しかないのだろうという気になる。沢山の文章を書いて、それで少しずつものにしていくしかない。野球選手だっていちいち考えてプレイしているわけじゃないだろう。毎日練習していて、その動きが血肉となっているから体が反応するのだろうし。

などと分かったようなことを書いているが、知識になる前に読んだ本の内容は忘れていってしまう。なんだか良いことが書かれていたなあ、という印象だけが残っている。かくして文章が上達することもなく、この先もそうなのだろうと思う。