アップグレード

2018年、米国、リー・ワネル監督作

空にはドローンが飛び、地上では自動運転の乗用車が走る近未来。ガソリンエンジンの自動車を修理して販売する仕事をしている男は、顧客であるハイテク企業の経営者に車を納品する。その帰り、妻と乗っていた自動運転車が事故を起こし、車から引きずり出された場所で妻は殺され、男は四肢が麻痺する大怪我を負わせられる。
経営者は、脊髄にチップを埋め込めば体は元通り動くようになるが、未認可の違法なものなので口外しないことを条件として手術を持ちかける。
男は手術を受け、妻を殺した犯人を独力で探そうとする。

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面白かった。何も期待しないで観始めたけれど思わぬ拾いものをした。

SF映画の面白さというのは、新しいビジョンを見せてくれることだと思う。それは特撮やCGでの映像の面白さだけでなく、設定やアイデアなど。
この映画で言えば、主人公は体にチップを埋め込むことで、そのチップと脳内で会話できるようになる。体の中に相棒がもう一人いる感じ。
そのチップに体の制御をまかせることで常人には到底辿りつけないような強さと速さを発揮できるようになる。
んなことあるかい!と言ってしまえばそれまでだけれど、SFというのは嘘の科学的設定を用いてうまくこちらを騙してくれればそれで良いのであって、そんなことにつっこんでも無駄。だって体にコンピュータを埋め込んだら凄く強くなる、ってロマンがありますやんか。ロマンなんですよ、我々が求めているのは。我々って誰のことかよく分からんけど。

他にも、殺し屋の集団は腕に銃身を埋め込んでいて、肘の内側から弾を装填して掌を相手に向けて弾を発射する。アイアンマンの掌に噴射口があるような感じ。そんなややこしい手術なんかしなくても銃を持てばいいやん、なんてこと言ったら負け。だって掌から銃弾を発射するんですよ?格好良いでしょ?格好良い方が良いでしょ?

主人公がせっかく犯人を見つけ出したのに、手を下すことを躊躇したりして、何の為に犯人捜しだしたん?みたいなところや、体の中のコンピューターに頼り過ぎていて、ドラえもんに頼りっぱなしののび太ですやん、な感じもあり、他にもちょっと物語上の緩さを感じるところはあったけれど大目に見よう。
真犯人、黒幕を探す結末も、いまひとつ説得力があるとは思えないけれど、これもよしとしよう。
大甘過ぎるかも知れないが、なんとなく頑張ってるSF映画は応援したい。観ている間、結構楽しんだのだから、それで良しとしようではないか。