グリーンナイト

2022年、米国、デヴィッド・ロウリー監督作

アーサー王の甥であるガウェインは、王の宮殿で開かれたクリスマスの宴に赴く。そこへやってきた不思議な緑の騎士が、自分に一撃を与えよ、ただし1年後には自分を探し出して同じ一撃を受けよ、というゲームを提案する。武勇伝も戦功も持たないガウェインは自ら進み出て緑の騎士の首を切り落とすが、騎士は自分の首を持ち上げて馬に乗り去っていった。
1年後ガウェインは緑の騎士を探す旅に出ることになる。

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原作はアーサー王伝説の中にある一遍であるらしい。英国の歴史に疎くアーサー王についてもよく知らない。原作未読で映画を観た感じになった。
原作では、ガウェインは勇敢な騎士であるらしいが、本作では騎士でもなく、娼館に通い詰めるような乱れた生活をしている王の身内ということになっている。そんなダメ人間っぷりが映画の中では描かれている。

ロード・オブ・ザ・リング』も『ハリーポッター』も観ておらず、ファンタジーというものにあまり食指が動かない方だが、ダーク・ファンタジーという触れ込みであったので観てみたけれど、その興味に応えてくれる映画だった。
風景は寒々としていて、非人情な人物や怪しげな男女が裏で何事かを画策している。主人公は旅に気乗りせず、嫌世感が漂い、どうにでもなれといった投げ遣りな気持ちのまま旅を続ける。不思議なできごとと荒廃した景色が続き、現実とは違う異世界に浸ることができる映像の美しさがあった。

気になったのは、主人公を演じたデブ・パテルは『スラムドッグ$ミリオネア』やブロムカンプ監督作の『チャッピー』に出演していた俳優だけれど、有色人種だと思うのだが、そういう俳優が中世英国が舞台の物語に登場しても違和感がないのだろうか。少し調べるとパテルは英国出身らしいけれど、両親はアフリカ出身のインド系らしい。他にも群衆の中に黒人女性がいたはず。この時代にも少数ながらアフリカから欧州に来た人がいたのだろうか。勉強不足なだけかも知れないが少し不思議な感じがした。

ダークファンタジーといえばドゥーム・メタルを思い出す。そして好きな曲はこれなのだ。

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Erectric Wizardの『Funeralopolis』。これオリジナルの映像だと思っていたが、映画の一部であるらしく『Valhalla Rising』という映画らしい。アマプラにもあった。そのうち観てみるつもり。