極私的2022ベスト

難儀なことばかりの一年でしたね。

■映画
『エルヴィス』

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物語に大きな起伏があって画面が華やかで主人公が格好良くて、決めの場面が全てキマっていて素敵要素だけでできている映画。大きな画面と迫力のある音響で、映画館で観て本当に良かった。この映画を観た後はエルヴィス・プレスリーの動画を見たり、母親が残したレコードを引っ張り出して聴いたりして、しばらくエルヴィスがマイ・ブームになったほどだった。

 

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『MAD GOD』

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人形アニメーションによる地獄めぐり。
高橋ヨシキさんだったと思うが「ストップモーション・アニメーションの動きには実写映画と違ってフェティシズムがある」と仰っていた。最近の大作人形アニメーションの作品は技術の進歩がとても進んでいて、動きが滑らかでCGと見分けがつかないくらいになってきている。それは喜ぶべきことなのだけれど、でもなんだかそれは人形が動くアニメーションの良さが失われていっている感じがあったのだ。けれど、この映画ではそのフェティシズムが取り戻されている。めくるめく地獄の光景も素晴らしいけれど、人形に魂が宿り動き始めるというストップモーション人形アニメーション本来の動きが気持ち良い映画でもあった。
今年映画館で観た映画は18本。2回観に行ったのはこの映画だけだったと思う。

他にも『ある男』、『激怒』、『教育と愛国』、『ベルファスト』、『コーダ あいのうた』など良い映画を観た。スピルバーグの『ウエスト・サイド・ストーリー』も今年観た最高の映画のひとつだった。

 

■読書
『地下鉄道』

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米国の奴隷制があった時代に、奴隷だった黒人が農場から逃亡するお話。
読むのが辛くなるくらいの残酷さがあったが強く記憶に残った一冊だった。アマプラでドラマ版があるのだけれど、この小説を映像として観た時に自分は耐えられるだろうかと思ってなかなか手が出せないでいる。

 

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『火星の人』

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火星に独りで取り残された宇宙飛行士のサバイバルを描いたSF小説。とにかく面白い。
リドリー・スコットの映画版があるのは分かっているのだけれどまだ観ていない。同じ著者の『プロジェクト・ヘイル・メアリー』も話題になっていて、きっと面白いのだろうけれど文庫になってから読もうと思っている。

他には、平野啓一郎『ある男』、『アメリカ大陸のナチ文学』、『カッコーが鳴くあの一瞬』、『スタッフロール』、『大日本帝国の銀河』などの小説が良かった。鈴木エイトさんの『自民党統一協会汚染 追跡3000日』は将来、日本の政治史に残る一冊になるのではないだろうか。雨宮純『あなたを陰謀論者にする力』、橋迫瑞穂『妊娠出産をめぐるスピリチュアリティ』などの現代的な問題について考察された書籍もとても勉強になった。

 

■音楽
  該当なし

一枚もCD・レコードを買わなかったわけではないけれど、新譜ではなく再発みたいなものばかりなので。それとSpotifyなどで70、80年代のディスコを深堀しているので新しい音楽を聴いていないといえばそうかも知れないが、聴いたことのないdiscoは自分にとっては新しい音楽。

よく聴いたのはこれ

www.youtube.com

 

一番の重大ニュースは、やはり安倍元首相銃撃事件だと思う。その後の国葬も。東京オリンピックもあったが1ミリも競技は見ておらず、オリンピック後に収賄/談合で捕まる人たちのニュースを見て寒々とした気持ちになった。ロシアとウクライナの戦争や、それにまつわるあれこれも辛く、それらのどれにも極端な意見がつきまとい、マトモな言論は機能していないように感じられて諦めとうんざりした気持ちしか持つことができない。最近はてなではColaboの話題が多いが、それにもうんざりしている。どいつもこいつもという感想しか持てない。

また、いくら頑張って仕事をしても所詮は薄給でこき使われるだけなのだから、適当に働いて映画や読書など自分を楽しませて暮らした方が良い、やっとそういうことに気付いた年だった。