ファンタズム

1979年、米国、ドン・コスカレリ監督作

近くの霊園では不可思議なことが度々起こっていた。兄弟と友人は、その謎を解き明かそうとする。

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子供の頃に深夜のテレビで観て震え上がったホラー映画。もう一度観たいとうっすら思っていたが、何気にアマゾンプライムにあったので鑑賞した。

背の高い不気味な爺さん、飛んでくる死の鉄球、陰鬱な霊園と不可思議な小人の陰、そのようなものが随所に配置され恐怖に誘われる。一応は、謎の正体も提示されるが納得がいったかというとそうでもない。でも、そんな細かいことはいいんだよ、と思わせる魅力がある。ホラー映画というものは、そういうもので低予算の娯楽映画なのだから緻密さを求めても仕方ないし、そんなことで文句を言うのは野暮という気もする。

少し前に「イット・フォローズ」という映画を観た。SEXで感染することによって奇妙な人物の形をした何かが追ってくる、というホラー映画だった。とても面白かったけれど「何か」が何であるのか、どうしてそんなものが存在するのかというのは解き明かされなかった。でもそれで良いと思える。
他のジャンルの映画だったら、そのような、謎は謎のまま放置するような物語の展開は、許されないし、荒い脚本だと言われてしまうだろうに、なぜホラー映画だけは許されるのだろう。
そういうものだ、という了解があると言ってしまえばそれまでだけれど。恐怖というものは理屈ではないので、物語の基礎にきちんとした理屈という土台がなくても許されるんじゃないかという気がする。

今は陰謀論に関する本を読んでいるが、なぜこんな滅茶苦茶な話を信じてしまう人たちがいるのだろう、とずっと思いながら読んでいる。が、陰謀論というものには何かしらの悪が居て、それを知っているのは一部の人間だけ、という構図がある。そう思うと彼らが無茶な筋書きを信じてしまうのは、世の中に隠れている巨悪を感じていて、その恐怖の前では筋の通った理屈など必要で亡くなってしまうのかも知れない、などと思ったりしたのだった。