あと一歩、そばに来て/武田登竜門 

短編集。

本屋でみかけてなんとなく「面白そうだ」と思い購入して読んで見た。収録作品の『大好きな妻だった』はWebでも公開されていて読める。はてなブックマークでも話題になっていた模様。知らんかった。

[B! 漫画] 大好きな妻だった / 大好きな妻だった - 武田登竜門 | webアクション

漫画が好きな人は広く色んな作品を読んでいて、こういう新しい才能を見つけたりしているのだろうな。自分はそれほどの漫画読みでもないので、良いものが見つけられない。そんな人間には本屋でうろうろと見て回るのは大事だわ。

7本の短編が収録されていて、どれも味わいがあって絵柄も好み。
『その時がきたら』は誘拐されたお姫様とその世話係の男の話し。何も説明してもネタバレになりそうなので書かないけれど、色んなトリックが仕込まれていて、一度読んだ後にもう一度読むと理解が深まったり、味わいが深くなったりする。
『初夜はつつがなく』は嫁入りしたお姫様の初夜を描くとても短い作品なのに、その中で数度の転回がある。収録作品の中で一番好きな作品。
これは小説でやっても面白くならないのではないだろうか。漫画というビジュアルで見せる物語だから一コマの絵で急転させることができて、そこに衝撃がある。文章でこの物語を描いても、衝撃を与えるのは難しい気がする。筆力がある作家ならそれができるのかも知れないけれど。

こういう短編集や1冊若しくは数冊で完結している漫画はありがたい。どんなに面白いと評判の漫画でも十数冊という分量になると読んで見ようという気が削がれてしまうから。

著者名からは男性なのか女性なのか分からず、あとがきを読んでも判然としなかったけれど、なんとなく女性作家であるような気はした。少し検索するとこんな記事があって

なんで漫画家になった|武田登竜門|note

あ、やっぱり女性の方だった、と確認できた。だからどうということはないけれど、当たったのが嬉しい、というそれだけの話しです。