樹木たちの知られざる生活/ペーター・ヴォールレーベン著
森と植物に関する知見。
ドイツの森林管理官が森を見続けてきて得た知識が網羅されている。植物の話は面白い。
幾つか観葉植物を家に置いているが、やはり生き物だと感じるから可愛いと思える。動物のように直接的だったり瞬時に反応が返ってくるわけではないけれど、水やり、肥料、日当たりといった条件で元気が良くなったり枯れたりしてしまう。反応が返ってくるのにタイムラグがあるからご機嫌を伺うのが難しいけれど、きちんと世話ができていれば元気でいてくれて、その緑の葉は部屋に彩りを与えてくれる。
だから本書を読んでいて色んな知識が得られるのは楽しいのだけれど、植物を擬人化する表現が多いのが気になる。曰く
「森の樹木には守るべきマナーがある」
とか
「キノコは医療サービスも提供する」
とか
「木は数をかぞえることができるのだ!」
など。
植物は生き物だから、そこに生物としての愛しさを感じるのは良いとしても、意識と思考があるような書き方はどうなのかと思う。それは、植物が様々な環境の変化に対応している姿は思考して判断しているように見える、ということを表現しているだけれど、なんでも擬人化せずとも良いのではないかと思う。
人に例えることによって読者に親近感を持たせるということだろうけれど、それはある意味幼稚なのではないだろうか。
幼児の絵本にある動物や果物が人の形をして話しているのとあまり変わらない。もっと言えばアンパンや機関車に目鼻があるのと同じ。
そのようなサービスはあまり必要ないのだけれど。この本を読んで「植物には意志があるのか!」なんて思ったならオカルトや行き過ぎたスピリチュアルではないかと思う。そういう人って結構いるから。