ISHIYA私観|ジャパニーズ・ハードコア30年史/ISHIYA 著

DEATH SIDE/FORWARDというバンドで東京のハードコアシーンを体験してきたISHIYA氏によるジャパニーズ・ハードコア史。

ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史

ISHIYA私観 ジャパニーズ・ハードコア30年史

  • 作者:ISHIYA
  • 発売日: 2021/01/10
  • メディア: 単行本
GAUZE、LIP CREAM、OUTO、S.O.B等々日本のハードコアの先駆けとなったバンドの名前が多数でてきて、筆者とそのバンドにどんな関わりがあったかが綴られていく。ハードコア・パンクというジャンルの渦中にいた人物が彼らの歴史を綴るということは正当なことだと思う。様々な関係性が垣間見えてとても興味深く読んだ。
自分はハードコアに詳しいわけではない。ないけれど、ちっとも知らないということもない。かつてはライブに出掛けたことも多々あってbathtub shitterというバンドがとても好きだった。でも彼らの名前は本書にはでてこない。大阪のバンドだから。
こういう本に俺の好きなアレがデてこない、なんて文句を言っても仕方ない。書名に「私観」と書かれている通り、筆者の見て体験したことが書かれているのだから。
ただ思うのは、東京のシーンというものはこうやって書き手が現れて記録されるけれど、地方のことはそうでもない。歴史に残らないというか。本書ではその点も行き届いていて、筆者がツアーで訪れた各都市で印象に残ったバンドやライブハウスについても記されている。素晴らしい。
ちなみにISHIYA氏の著作には『関西ハードコア』という関西のハードコア創世記の歴史といえる著作もある。これも歴史の記録になる。
でも他の都市でうごめいていたバンドたちの歴史は、そこで誰かが記録を残さなければ忘れ去られてしまう。記録が残って歴史になるということを考えた本だった。