天才による凡人のための短歌教室/木下龍也 著

歌人、木下龍也氏による短歌の始め方。

天才による凡人のための短歌教室

天才による凡人のための短歌教室

 

 少し前から短歌に興味を持っている。短歌に限らず、以前は詩というものを軽んじていて、言葉を幾らいじくり回しても現実の世界は何も変わらないし無駄な行為だとさえ思っていた。しかし小説だって同じこと。読了後何かの気持ちが心の中に留まってそれが心地よいという目的のために読んでいる。そういう感情を味わうために物語を消費している。
ネット上にある短歌を色々読んでみると、そこには共感であったり可笑しさであったり、はたまた感心することも多々ある。短い詩によって小さく心が動くことを味わうのも悪くない。

では、短歌ってどうやって作られるのか、その作法に規則はあるのか、そんなことを思って入門書を読んでみたいと思って手にとった一冊だった。
色々と面白い、というか勉強になることが書いてあった。第二章の「短歌をつくる」の項の見出しを拾うと

定形を守れ
助詞を抜くな
文字列をデザインせよ
たくさんつくれ

などとなっていて、歌人というのはそういうことに留意して歌を詠むのかと思ったりする。そして自分でも何か作ってみたくなる。昨日見た景色が57577の言葉で表現できないかと知らぬ間に考えてみたりしている。たぶんはまってるのだと思う。

ナナロク社というあまり知らない出版社からの刊行で、造本が文学フリマで売っている自費出版の書籍のような感じで可愛い本でした。それだから手にとったというのもあるかな。