小杉武久 音楽のピクニック@芦屋市立美術館

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小杉武久さんというのは1950年代から活躍している前衛音楽家です。タージ・マハル旅行団というバンドに在籍していた人で『ライブ・イン・ストックホルム1971』という盤が凄く好きで一時期よく聴いていました。70年代にこんな即興音楽があったのかという驚きもあった。

美術展は氏の活動の軌跡を紹介するもので、正直どんな人なのか知らなかったのがよく分かるものでした。60年代、70年代のライブ告知のチラシやポスターが展示されていてそのグラフィックが凄く格好良くて。時代は変わっても格好良いものは変わらないのだと思いました。
他には電子回路で組んだ微音を出す装置も作品として展示されていて、ただ「ジジッ」と音を出してるだけなのだけれど、そういうものが展示されそれを鑑賞することが面白い。こういうものだったら俺でも作れるんじゃないかと思わせる簡素さも良かった。なんか色々やる気になるというか。

ただ、小杉氏は東京芸大を出た音楽のエリートといっていい人で、だからこそ、その活動がこうやって認められてもいるし作品が美術館にも展示される。でも氏の作品の電子回路が「ジジッ」と音を出すものだけを見て誰が作ったものかも知らないならそれを面白いと思えるのだろうかということは考える。というか前衛音楽や即興音楽といったジャンル名と記名性を取っ払えばやってることはノイズミュージックをやってる人と同じじゃないのか、とも思う。自分にしてもこれを美術館で見るから面白いと思うのであって、日本橋の電子部品店の店頭ワゴンにこれがあっても面白いと思えるのだろうかと。たぶん思わないだろう。それはやっぱり作った人の名前に惑わされているだけで音やその作品だけを評価してるんじゃないのだろうな。そういうところになるべく惑わされずに音楽を聴きたいけれど永久に逃れられないのかも知れない。

そんなことを考えました。