いま世界の哲学者が考えていること/岡本裕一朗 著
書名の通り、世界の哲学者たちは今どんな問題に取り組んでいるのかを紹介する本。
目次を列記すると
1章 世界の哲学者は今、何を考えているのか
2章 IT革命は人類に何をもたらすのか
3章 バイオテクノロジーは「人間」をどこに導くのか
4章 資本主義は21世紀でも通用するのか
5章 人類が宗教を捨てることはありえないのか
6章 人類は地球を守らなくてはいけないのか
という感じです。
第一章にも書かれていて、日本では哲学というと「人生論」を語るものというイメージですが、そうではないんですよ、世の中の色んなことについて哲学者は考えているんですよ、ということを浅く広く伝える内容です。
目次を見ると、情報技術、生命科学、資本主義、宗教、環境問題といった技術や経済、宗教といったものについて世界の哲学者が思索をめぐらせていることが分かります。こういうことって社会学みたいな分野の人がやることだと思っていました。文系学問の領域にあまりにも無知なのを痛感します。
技術も経済も宗教もそれぞれに専門分野の学者がいるわけで、専門の人たちが先鋭的に深く研究しているものを、哲学者は俯瞰したり人間社会にどんな影響があるかを推し量るという感じでしょうか。
面白いのだけど、物の見方を提示しても世の中というのはどんどん進んでいくわけで、その辺りは少し無常感が漂います。決して無駄なことだとか言うつもりはないのだけど、世の中を変えるのは言葉じゃなくて技術だと思っているので。