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誰も知らない

2003年、日本、是枝裕和監督作
母親と子供4人の家族、母親は子供たちを小学校にも行かせず、長男以外は外出も禁止して周囲に存在を隠していた。やがて母親は男をつくって帰って来なくなり、子供たちだけの生活が始まる。
実際にあった事件を題材にした物語。

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悲しい。悲し過ぎる。
母親の罪を声高に責めるという映画ではない。とても悲惨な事件を題材にしているけれども、涙をさそうような劇的な演出を抑えて子供たちだけの生活を優しく描いている。それゆえに全編に静かに悲しみが充ちている。
母親がいなくなってから、部屋から出てはいけないという禁を破り子供たち4人が揃って外へ出て行くシーンでは、子供らの嬉々とした表情が逆に胸にせまる。

主演の4人の子役が感情を抑えた演技(演出)で素晴らしいです。長男を演じた柳楽優弥はカンヌでの主演男優賞とのことで納得です。それと共に長女を演じた北浦愛がとても良いと思うのです。兄弟の中で一人だけ諦観をもっているような表情が印象的でした。

音楽はゴンチチ。清らかな音楽が映像に寄り添ってる。

残酷な事件を甘く描き過ぎるという批判もあるようだけど、事件を克明に描くだけが映画ではないと思う。あくまで「題材」であって実際の事件とは違うわけだし。園子温の『冷たい熱帯魚』みたいな最強に残酷な映画も、本作のような詩的な語り口の映画もあってよいと思います。そういうのが多様性だと思うので。

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