逆転のトライアングル

2023年、スウェーデン、英国他、リューベン・オストルンド監督

富豪ばかりを乗せた豪華客船の中では、彼らの我儘に乗組員たちは従わざるを得なかった。その船が難破して僅かな乗船客と乗組員が島に流れ着く。そこで魚を捕り火を起こすといった生き抜く力を持っていたのはトイレの清掃員の女だけだった。

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思てたんと違う。
金持ちの乗船客にわがまま放題言われて従わざるを得なかった乗組員たちが、船の難破で体力勝負の局面になると立場が逆転して今までの復讐を果たす、みたいなお話だと思っていた。
でも実際は乗船客も乗組員も殆どが船の難破で死んでしまって生き残ったのは数人。その中で生存能力の高いトイレの清掃員の女性がトップになるというお話で、乗組員の二人も清掃員の女性の配下にされてしまうから「逆転」とは言い難い。現代は『TRIANGLE OF SADNESS』で眉間の皺のことを言うらしい。原題に「逆転」入ってない。

物語の語り口が見慣れたアメリカ映画と違って少し緩やかな感じがあって、ヨーロッパの映画っぽいなと思う。テンポというのか、リズムというのか、場面ごとの展開の速さが違っている。小さなエピソードを繋いでいって大きな物語を描くけれど、米国映画ならその小さな場面が次々と移り変わるのに対し、この映画はひとつひとつをじっくり見せる感じがあった。監督の作風というものでもあるでしょうが。

島に流れ着いてからは、サバイバルものになるけれど、結局は性愛の問題になって、主人公のイケメンメンズモデルのカール君が生きていく為に苦い現実を受け入れるというお話だった。カール君だけが可哀想。

アル中の船長を演じるのはウディ・ハレルソンで、こいつがちゃんとしていたら船も難破しなくて済んだし避難訓練もちゃんとやれたはずで無能極まりない男なのだが、なぜか憎めない。なぜそう思ったのか。やっぱり役者の力なのだろうか。

エンディングは、はっきりと結末を見せずに複数の可能性を暗示するラストで、こういうのは嫌いじゃない。誰かと観に行っていたら鑑賞後に「結末はっどっちだ?」みたいな話で盛り上がりそう。一人で鑑賞したので、そういう楽しみはなかったけれど。