1917 命をかけた伝令

2020年、英・米国、サム・メンデス監督作

第一次大戦の最前線において英軍は、明日攻撃を仕掛けようとしている部隊の先にはドイツ軍が周到な準備をして待ち構えていることを察知する。司令部は二人の上等兵に攻撃中止命令の伝令という任務を託す。

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全編ワンカット、という触れ込みの本作ですが、実際はワンカットの撮影ではなく巧妙に編集で繋げているらしい。まあ当たり前で、2時間の映画をまるまる一発撮りで撮影できるわけもないとは思う。しかしほぼワンカットに見える映像で大変迫力があった。
映し出されている映像の裏側には緻密な準備と一回の撮影に賭ける労力と、移動しながら広がる景色の中の物が全てこの映画の為に創り出されたものだとう物量に圧倒された。

物語は単純で、伝令が前線を横切って伝令と任務を果たせるのかどうか、ということだが、途中にいる敵兵に何度も阻まれ、また、どこに敵が潜んでいるかもしれないというサスペンスとしてとてもハラハラしながら観た。そしてそれがリアルタイム(であるかのような)ワンカットで見せられることで主人公の兵士と同行しているような感覚を味わわせてくれた。
近年のワンカットが話題になった映画というと『カメラを止めるな』で、あれはワンカット撮影というものの内幕、舞台裏を見せることで喜劇として、そしてそこで苦労するスタッフたちの苦労が人間ドラマになって面白い作品になった良作だったけれど、本作はワンカットを迫力と没入感という効用を与える為に大掛かりな仕掛けで取り組んだ労作で、暫くこんな凄い映画はないんじゃないかと思えるくらい面白かったです。人物造形が浅い、みたいな評もあるみたいだけれど、映像の迫力に圧倒された。映画館の大画面で観た方がよい映画だと思います。