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気狂いピエロ

映画

1965年、フランス、ジャン=リュック・ゴダール監督作

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名作と呼ばれる映画でも観ていないものは結構あるもので、本作もそんな一本。で、観てみてどうだったかというと「どこが面白いんだろう」という感想でした。その面白さを理解しようとあちこちの映画評をのぞいて見たんですが、?が渦巻くばかり。以下は感想に対する感想。

●引用でできている
引用元が分からなくても映画として成立すべきだと思うのですが、それはおいておくとしても何の映画の引用なのか分からないんですよね。引用を面白がるというのは引用元が分かって初めてニンマリ出来るものだと思うし。でも65年の映画が引用しているのはそれより古い映画なんだから知らないでも仕方ないか。同時代で観れば意味があったのかもなとは思います。
それとも「この映画のこのシーンの引用」というものではなく「犯罪映画にありがちなシーン」みたいな場面で構成しているということでしょうか。あるあるってことでしょうか。引用で映画を作り上げるということが斬新だったということなのかなあ。

●画面構成が美しい
フランスの景色というだけでお洒落だとか憧憬みたいなものを感じる人間ではないので仕方ないのかも。美的感覚は個人によって波長みたいなものがあると思うので、この映画の提示する美しさとは波長が合わなかったということかな。

●主演女優が監督の恋人
女優に振り回される監督の私生活そのものということらしいけど、スキャンダルみたいなものを理解していないと面白がれないというのはどうなの?ストーンズの『ブラウン・シュガー』という曲は当時ミック・ジャガーが付き合っていた黒人女性に対する歌らしいけど、そんなこと知る前から好きだったけどな。

●即興で映画を撮っている
即興なの?交通事故にみせかけて車を燃やして逃亡するシーンがあったけど、監督が現場に来て「車ひっくり返そうかな」とか言ったんでしょうか。そうだったらある意味凄いけど、でも映画を観る前に前知識としてそれを知っとかないと分からないような。

●アマチュアリズム
確かに自主映画っぽい感じはあるけど、それが面白いのだろうか。謎。大作や完成度の高い映画へのアンチテーゼ?

●男女の逃避行
何にも縛られずに自由でいる人間を描いたということみたいですが、物語を緻密に語ってる映画ではないので、そこに着眼してもどうなのかなあ。別に自由も感じなかったし。ボニー&クライドの『俺達に明日はない』よりも前だからそういう意味で先進性があったということなのでしょうか。車をどんどん乗り換えていくのは当時としては豪勢なのかなという感じはします。

映画を観ている間の感想は非常に荒削りなものを観ているという印象でした。シーンとシーンの間に語るべきものがあるけどバッサリ削ぎ落としているような感じ。素直に受け取ると、まるでなってないとなるけれど、わざとやってるんだろうなという感じもあって、でもわざとだからどうなの?というところまでしか理解出来ない。
映画の意味はわからないけど独特のムードは感じました。どこがといわれると困るけどカミュの「異邦人」を読んだ後のような何だか分からないものを観た(読んだ)という感じが似てるかな。
あと、全体的にふざけているような調子はずっと感じた。ちょっと小馬鹿にしているような感じ。かっちり作られた映画を笑っているのでしょうか。

ぶつくさ文句ばかり垂れているみたいだけど、名作と言われてる映画なんだから面白さを理解したかったんです。でもよく分からなかった。
少し前に、当時革新的だった漫画を今の若い子が読んで「どこが面白いの?」と言ったとかいう話題があったけど、今の自分はそんな風になってるのかとも思う。
本作にしても時代性という価値があるということは思います。65年に観れば革新的な映画だったのかも、と想像はするけどそれを感じられるところまでいかなかったです。

映画は感じるものだと思うので、感じた後に理解するという順序なら納得できる面はあるのだろうけど、感じられなかったものを理解して改めて感じるというのは難しいのだなと思うと共に、感じることが出来るためにはどこか作者と客の周波数のようなものが重なり合わないと駄目なのだろうなとあらためて思ったのでした。

 

ウチの近所のビデオ屋さんはあんまり古い名作的なもの置いてないんですよ。そういう町に住んでる人間だから駄目なのかなぁ。

 

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