MAD MAX 怒りのデスロード
ジョージ・ミラー監督作、2015年
ストーリーは無いようであるようで無いようである!女が逃げて男が追い掛けるというそれだけ。追い掛 けっこが楽しいという本能的感性を炸裂させた物語ではあるけれど、逃げる過程において、それぞれの人物の生き様が滲み出てくる。それをドラマと言わずして 何というのでしょうか。
自動車とバイクへの愛に満ち溢れている。先般観た『ワイルド・スピードSKY MISSION』が、シリーズ当初はストリートカーの愛に満ちていたのに近作はアクション映画としての比重が大きくなって、車への愛が薄れているんじゃな いかと思って少しだけ(ほんの少しだけ)寂しかったのに比べると、本作は内燃機関への愛に満ちていて堪らない。自動車もバイクも改造して乗るものだという 当たり前のことを示してくれている。
MAXと女戦士は銃を撃ちまくるのに追跡者の方は首領級の人間以外は銃を持ってない。なんでだろとい うことになって、銃は貴重品だという設定かしらとも思うのだけど、部下(ウォーボーイズ)たちが反乱を起こさないように持たせてないんじゃないかとかそん なことを考える。他にも、おばちゃんバイク軍団は、なぜおばちゃん達なのか全く語られないけど何か意味があるんでしょう。何か緻密な設定があるんでしょ う。壮大な物語のたった一場面を観ているような感じ。
『ゼロ・グラビティ』という映画を憶えているでしょうか。宇宙空間で事故にあったス ペースシャトルの乗組員が如何にして地球に帰ってくるかという話ですが、あれを思い出した。物語はシンプルだけど、クライマックスかと思うような盛り上が りを連続させて見せ続けるという手法は似ていると思う。どちらもストーリー云々より映像体験に比重がある。『ゼロ・グラビティ』は宇宙船、無重力をリアル に描いて見せたのに対し、本作は狂ったイメージの氾濫で見せるという違いはあるけど。
もう近未来とか関係ない。ダークファンタジーだと思う。
過 去作を観てなくても全然平気だけど、本作を観た後に『MAD MAX2』のトレーラー・アクションを観たら、やっぱり見劣りするんじゃないかな。過去作も観るつもりならやっぱ順番通りに観た方がいいことはいいと思 う。『MAD MAX2』があってこその『デスロード』だと思うので。
ビデオで観ればいいなんて言ってたら勿体ない。映画館で観ないと後悔すると思います。