美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道/春日太一 著

岩下志麻さんにインタビューし、過去の出演作からその女優としての経歴をひもとく一冊。 

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道

美しく、狂おしく 岩下志麻の女優道

 

 

「好きな女優さんは?」と訊かれたら
「若い頃の岩下志麻さん」と答えるようにしています。

昔の日本映画を観るのがマイブームだったころがあって、その頃に小津安二郎監督作の『秋刀魚の味』という作品を観たのです。岩下志麻さんは笠置衆の娘の役で、彼女の結婚を世話するという家族劇だったのだけど、その可憐さに魅了されてしまった。もうその頃は『極道の妻たち』に出演していた時期で、あの人の若い頃はこんなだったのかという驚きもあった。
この画像を見てもらえればその魅力は伝わると思うのです。

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誰しもが認める美貌だと思うのだけれど。

その後、中村登監督作の『古都』では生き別れた双子の二役を演じたり、野村芳太郎監督作の『疑惑』では弁護士役で桃井かおりと対決したりと、その容姿以外、女優としての実力の部分でも好きな女優さんになりました。

本書を読むと彼女の役作りというのは、その役(人物)の心理状況を考察して内面から演じるというものらしい。
この女性はなぜこのような行動にでたのか、その時の心理状況は、元々どんな人物なのかということを想像して役になりきる。なので映画の中で役を演じているとその役が乗り移ったようになって実生活でもその役がでてしまい、撮影終了後もしばらくその役が抜けないらしい。
若い頃は精神科の医師になりたかったというで、そういう性格、心理についての研究に関心があるからできることなのだろう。

また、夫である篠田正浩監督と独立プロを立ち上げた時の苦労なども語られていて、ただの美貌だけの女優さんではないという印象を決定付けた一冊だった。ますます岩下志麻という女優さんのことが好きになりました。

そして著者は、この長い経歴を持つ女優さんの出演作をすべて研究してインタビューに臨んでいるわけで、その準備作業の膨大さを思うと途方に暮れる。女優の魅力を引き出すという意味でこの著者も凄いと思ったのでした。

東の果て、夜へ/ビル・ビバリー 著

ロス・アンジェルスの片隅でギャングの一味として麻薬を売買する「家」の見張りを担っていた15歳の黒人少年イーストは、ボスに命じられて組織の邪魔になる男を殺す役目を命じられる。4人組となった少年たちは北米大陸の東へ人を殺す旅にでる。 

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

東の果て、夜へ (ハヤカワ・ミステリ文庫)

 

 犯罪小説でありロード・ノベルである本作は少年たちの成長譚でもあり、とても感動的な物語だった。
「ボックス」と言われるLAの片隅の地区から出たこともなく、その中で麻薬売買をする「家」の見張りをすることで主人公の黒人少年は暮らしている。そして、その主人公の旅が描かれ、そこには他所の町では黒人であることが奇異に見られることや、チームとなった同じく黒人の少年たちとの葛藤や邂逅が描かれる。

なぜ小説を読むのだろうと考える。直接的には面白い物語と出会いたいから、と答えるしかない。ミステリーであれば、そのトリック、どんでん返しを味わいたいからだろう。そういうものを読めばスカッとして気分が良いから。快楽を求めて読んでいる。しかしそれだけだろうか。

なぜ小説を読むのか、なぜそれが楽しいかと考えると、恐らく自分と違った境遇の人間の心情を知ることができるから、ではないだろうか。
俺の人生において、LAでギャングとして生きることも、そこに所属する黒人少年として生きることもないだろう。絶対ない。極東の黄色人種として生まれた自分が黒人として生き、その境遇を味わうことは生まれ変わったりしない限りあり得ない。

でも小説を読んでいる間、読者である自分は黒人少年になっている。人を殺す任務を命じられた少年の心情を、緊張感を、ストレスを味わう。そういう心境で西海岸から東へ北米大陸を縦断する道中の景色をギャングの黒人少年として見る。そうやって読書でいる間、自分と違う人間の境遇、視点を知ることになる。

人の気持ちなんて想像しても仕方ないという人もいる。あれやこれやと他人の気持ちを察しても仕方ないというのも分からないでもない。そんなことを考えてもきりがいないというのも分からないでもない。しかし自分と違う境遇、立場の人間の気持ちは想像してみるしかない。沢山の色んな境遇の人と話をして色んな人の立場を知ることで人は大人になるけれど、無限にある他者の人生を知ることはできない。
でも小説ならそれが垣間見える。

大人になるということは世間を知るということで、それは色んな人の色んな事情を知ることだと思う。それは色んな人と出会うことで磨かれる。
誰しも自身の経験から法則を生み出してそれを基に世の中を計る。だから自分の観測範囲にない人の立場を置き去りにしがち。差別的な言辞を吐き出す人間は差別される人間の立場を知ることもないし知ろうともしない。
けれど小説を読むことで観測範囲にいない人間の立場を擬似的に得られるのだと思う。
そういう経験を思索をしなかった大人は歳をとっただけの子供でしかない。

京都旅行

GWを利用して京都旅行に行って来ました。

小谷美紗子さんの歌に「京都に海があるなんて誰も知らない」という歌詞があって、その歌詞をひもとくまでもなく、たいていの人が「京都」と聞いて思い浮かべるのは寺社仏閣のある京都市内のイメージだと思います。小谷美紗子さんは京都府日本海側の町の出身だということでこういう歌詞なのですね。

そんな京都府日本海側に一泊二日で旅行に行ってきました。

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だいたいこんなルート。車です。

 

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京都市を抜けるのに時間がかかるんですよね。写真は太秦広隆寺前。

 

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市域を抜けると山ばっか。朽木を通って小浜市に向かいます。この辺りは滋賀と福井。川がきれい。

  

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で、海。

 

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 で、海。

 

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パノラマ写真で海。

 


京都に海があるのがお分かり頂けたでしょうか。道中は山ばっかりでしたけどね。