アドルフ・ヴェルフリ@兵庫県立美術館
兵庫県立美術館で『アドルフ・ヴェルフリ 二萬五千頁の王国』という展覧会を観てきました。
アドルフ・ヴェルフリ(1864-1930)はアウトサイダー・アートの方です。アウトサイダー・アートというと精神病院の患者の作品が芸術的に価値を見いだされたところから始まっていて、彼もまた精神病院で作品を創作し続けた人でした。
その作品はとても奇怪で歪んだイメージが横溢していて、執拗で、意味が読み取れず、それでいて静かに激情が渦巻いているような作品でした。こんな感じの絵です。
アウトサイダー・アートの作品を観ていると思うのは、絵画に意味を読みとるのは無意味なことだよなと思います。絵画の解説として、この作者は当時恋人と別れて失意にありその心象風景が作品に現れた、みたいな「意味」が添えられるけれど、それは大して重要なことじゃないのではないか。作家研究や美術史的な意味はあるけれど、その作品を観るのにその解説は必要ないんじゃないだろうか。ただそのイメージに圧倒されればそれで良いのだと思う。それこそが絵画の機能じゃないかと思う。
絵も情報の伝達手段だけれど、言葉にできないものを伝達しているわけで、そのイメージを受け取ればコミュニケーションは成立しているような気がする。言葉と違って正確な意味は伝達できないけれど溢れ出る作家の激情を感じ取ればそれで良いのではないだろうか。そしてそのイメージが常識に囚われた固い頭からでてきたものではないところにアウトサイダー・アートの魅力があるように思います。
美術館は階段が素敵な建物でした。
こんな感じとか
こんな感じ。
悪夢の迷宮っぽい。