秋日和

1960年、日本、小津安二郎監督作
旧友の回忌法要に訪れた3人の男たちは年頃になった旧友の娘に結婚相手を世話しようとするが、彼女は母親が一人になることを気遣って首を縦に振らない。それならと男たちは未亡人である旧友の妻にも再婚を世話しようとする。

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小津安二郎の映画が国外でも評価が高いのは普通の日本を見せてくれるからだと思うな。戦場だったり犯罪現場だったり劇的な情景でない市井の日本人を見せてくれるからだと思う。それは50年以上昔の映画を観る今の人間にとっても同じで、50年前の日本を見せてくれるという価値があるのだと思う。小津映画を見るとその時代をきちんと撮っておくことが時代の記録となって価値があることだとつくづく思う。年配者が若い娘を心配して縁談を世話しようとするといった話も、そういった人間関係が当時の人達にあるという記録になっているし。

現代の映画やテレビドラマもこういった市井の人間の機微といったものをちゃんと描いておくべきだと思うな。悲恋や殺人事件や難病だけがドラマじゃないと思う。
ただ、本作のような、言わば地味な題材の映画が今あったとして自分が観に行くかと言われればどうなのかとも思う。普通の人間ドラマをと言っておきながら自分がそういうものにお金を払って観に行くかと言われれば、うーんとなるかも知れない。勝手なこと言ってるなと自分でも思います。