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デスレース2000年

1976年、米国、ポール・バーテル監督作
近未来、独裁国家となっていたアメリカでは、西海岸から東海岸へ大陸を横断するレースが行われていた。それはレースの途中に人を引き殺せば得点が加算されるという殺人レースだった。政府を転覆しようと企むレジスタンスはこのレースを妨害しようとするが・・・

『悪趣味洋画劇場』というZ級映画を紹介する本で中原昌也が本作を紹介していて、ずっと観たかった映画だった。カルト映画という評価の高い一作。

とてもチープ。戦隊ヒーローに出て来そうなレースカーが走り回る。そのデザインは車の先端に牙や角やナイフが突き出ているという漫画をそのまま具体化したようなもので、カーアクションもあまり大したことはしていない。車が爆発したり、崖から落ちたりというのがアクション的盛り上がりだが、これも戦隊ヒーロー的な豪華さを超えない。それでも低いアングルで爆走する車両を捉えた映像は疾走感満点だ。
主人公は事故で怪我をした設定でマスクをしているが、マスクを脱いでもただのおじさんにしか見えない。女優陣は意味なく脱いで裸体を晒している。サービスカットなのでしょう。

映画の全体に皮肉が漂う。レースで優勝した主人公が大統領を引き殺して自身が大統領になるのだが、極めつけはそこに投げかけられる
「閣下の人気は暴力が築いたものでは?競争と殺戮はアメリカの文化だぞ、暴力のどこが悪い、弱者を押しのけ殺してあんたも英雄になったのだろう」
という言葉。漫画のような映画でありながら社会を風刺してすることも忘れていない。

全体に映像がとても美しい、それでいてあれこれと盛り込んでいて物語は焦点がぼやけているので、逆に昨今の映画が物語、脚本と言う意味で如何によく練り込まれているのかを感じる。70年代にこれを観たらとても面白かったのだと思うけれど『MAD MAX 怒りのデスロード』というカーアクション映画の頂点が存在する2015年の現在では、あまりにも古いと思ってしまう。映画はやはりリアルタイムで観てこそその意義があるのだと思わせる。