ワイルド・スピード SKY MISSION

2015年、米国、ジェームズ・ワン監督

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おなじみのキャラクターたちで構成されたファミリーの面々は、前作では国際警察に悪者を捕まえる手助けを依頼されたわけですが、今回は軍(?)の秘密組織みたいなところから色々依頼されます。もう秘密戦隊っぽくなってる。
空を飛ぶ飛行機から出撃するわ、無人機からロケットで攻撃されるわ、相手はテロリストだわ、ともうどこまでこの作品はいくのでしょうか。

本作で一番大事なのはブライアンを演じるポール・ウォーカーの遺作であること。撮影半ばで交通事故により亡くなってしまいました。ポール・ウォーカーはこのシリーズでは『x3 TOKYO DRIFT』以外には全て出演していて、ドム(ヴィン・ディーゼル)とポールウォーカーの二人が主役のシリーズだったわけで、彼がいなくなると本作はどうなるのか、と言われていましたが、CGなども含めて上手くお話をまとめています。

監督が3,4,5,6と続いたジャスティン・リンからジェームズ・ワンに変わったせいもあるのか過去作からの引用や繋がりは少し薄めですが、それでも辻褄が合うように色々と仕掛けはあります。

ラストシーンでは次回作に対する繋ぎが登場するこのシリーズですが、本作ではその点は見られません。それでもポール・ウォーカーヴィン・ディーゼルの別れと回想シーンではシリーズを通して見てきた者にとっては落涙必至。こんなん泣いてまうやろの世界。

 

ということで、ワイルド・スピードシリーズの復習も済んだので現在公開中の8作目『ICE BREAK』を観に行ってきます。

ワイルド・スピード EURO MISSIN

2013年、米国、ジャスティン・リン監督

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シリーズも6作目となり、大作映画の貫禄も十分に備わってきた本作。もう日本車はあんまり出てこないし、ストリートレーサーのお話からは程遠くなっています。

シリーズの1,2,3作目はストリートレーサーのお話。

4,5作目はそのストリートレーサー出身のアウトローが義賊的に活躍するお話でした。

6作目である本作からは、お馴染みのキャラクターたちが終結して公権力から悪い奴等を捕まえてくれ、って依頼されたりします。シリーズを重ねると立場が変わるもんですな。

ワイスピシリーズが面白いのはカーアクションの映画としての面白さもさることながら過去作との繋がり方がちゃんとしてるんですよね。いったん死んだと思われたレティ(ミシェル・ロドリゲス)が復活してしまう本作なのですが、その理由がそんなに無理やりって感じじゃない。他にも2作目に登場したブライアン(ポール・ウォーカー)の同僚のFBI捜査官が出てきて因縁も繋がっているし、この同僚の捜査官は『x2』ではブライアンに殴られて鼻を怪我するんだけど、本作でも鼻を怪我します。ちゃんと過去作を見てる人にもサービスがある。
レティとトレット(ヴィン・ディーゼル)がロンドンの街中をレースで爆走するシーンがあるのですが、ロンドン名物2階建てバスの中から子供が暴走する2台を見つめるシーンがあって、これは『TOKYO DRIFT』でも同じシーンがある。細かいところにサービスが行き届いているのです。

エンディングでは第6作の後に『x3 TOKYO DRIFT』があることが明示されます。そしてこのシーンが『x3 TOKYO DRIFT』との整合性をきちんと整えていて、なおかつ、次作『SKY MISSION』にもしっかり繋がっているという。こういうしっかりした作り方がこのシリーズを人気作品にしているのだと思います。

ワイルド・スピード MEGA MAX

2011年、米国、ジャスティン・リン監督

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シリーズで登場したキャラクター達が再集結する舞台はリオデジャネイロ。街の景色がスラムもストリートも美しく、映像に貫禄があって真の大作映画。

もう日本車のストリートレーサーの映画ではなく、カーアクション映画を追求する形になっていてやりたい放題。それでも登場する車の中にはハコスカや新型のフェアレディZにGTR、そして『4』で活躍したインプレッサも登場する。ちょこっとだけレクサスLFAも出てきます。

リオの街中での警察とのカーチェイスでは、これでもかというくらい車がぶっ壊れて痛快を通り越して笑ってしまうほど。

そして毎度のことながら次回作に期待を持たせるラストが素敵すぎるのです。『アイス・ブレイク』が公開中だけど前作を見てから行かねばならないでしょう。

ワイルド・スピード MAX

2009年、米国、ジャスティン・リン監督

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シリーズ1,2は登場人物と物語が続いていたものの、3で少し外伝的なお話になった。それを、シリーズでおなじみのキャラクターたちが活躍する状態に引き戻したシリーズの要となる作品。

しかし日本車要素は低められて、その代わりにアメ車大活躍。日本車のスポーツカーが主役というシリーズの設定がカーアクション映画に軸足を移した作品でもあると思う。

それでもニッサンスカイラインGTRやスバル・インプレッサが大活躍する。個人的にはちらりとだけ映るシルヴィアS15がシブ過ぎる。

毎回、次のシリーズへとつながるラストシーンが上手い。

ワイルドスピードx3 TOKYO DRIFT

2006年、米国、ジャスティン・リン監督

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冒頭、米国のハイスクールで、主人公は体育会系の男とのレースに臨むところから物語が始まる。スクールカースト上位で乗ってる車はダッジ・バイパーのジョック、主人公は学校内でも孤立していて車もデカくて古いシボレー。はぐれ者の物語だということを分からせてくれる。

東京に舞台が移っても主人公は居場所を見つけて転々とする。車だけが生きがいのように見えるけれど、様々な鬱屈を車でとばすことによって憂さを晴らしている。
ワイルドスピードシリーズの原点に帰った居場所を失った人間たちが寄り添って生きている姿が描かれる。

日本の景色がとても美しい。日本人を演じている俳優の日本語がカタコトだったり、景色の中に変なカタカナが並んでいたりとガイジンが見た東洋の国というイメージはそこここにあるが、自動販売機や町の景色、車や人など、あまり美しいとはいえないごく普通の日本の情景がそこにある。美的なものばかり描いていてもそれはファンタジーでしかなくて、日常のどうしようもなさをえがいてこそ時代を活写できることを示している。

前2作のシリーズにおける登場人物は一切出てこないかと思わせておいて、シリーズの中の1作であることをほんの短い時間にはっきりと宣言するシーンがある。憎い演出だと思う。