オデッセイ
2015年、米国、リドリー・スコット監督作
火星に着陸し、有人探査を行っていた宇宙飛行士たちは砂嵐のために撤退を余儀なくされる。しかし母船に戻るロケットに乗り込む途中でクルーのワトニーが事故にあい嵐に吹き飛ばされてしまう。残ったクルーは彼が死んだと確信して母船に戻り地球へ帰還するが、ワトニーはなんとか生きていた。彼は火星に残された資材と知恵で生き残ろうとし、地球の管制官たちはなんとか彼を助けようと奮闘する。
原作はアンディ・ウィアーの『火星の人』で、以前に読んだ。
細部はうろ覚えながらもメチャクチャ面白い小説だったのは憶えている。なので展開も結末も知っているという前提で鑑賞したけれど、それでも映画としての面白さが多い作品だったなと思う。
前半の主人公があらゆる困難に創意工夫で立ち向かう場面は、映画では少し物足りなくて小説に分がある。でも2時間ほどの映画と文庫でも上下巻になる小説とを比べるのは酷だろう。小説のほうが厚みに勝るのは言うまでもない。それよりも良いバランスで映画化したことを褒めるべきだろう。
物語の中で火星に残されたワトニーが、船長が残していったディスコ・ミュージックを聴くという場面が幾つもある。小説の中ではアーティスト名と曲名が提示されるだけだけれど、映画の中ではそれが実際に流れる。その軽やかさは小説に比べるべくもない。映像と音楽が合わさったときの効果というものを実感する。
ネタバレではあるけれど、結果的に母船が折り返してワトニーを助けに行くというストーリーになっている。この場面での高揚感は小説とは違った盛り上がりがあって、映像で見るからこその高揚感があった。とても感動的。そして良いエンディング。
リドリー・スコットらしいSF感満載の宇宙船や火星のSF的描写も楽しいし、何よりハッピーエンドな物語をうまくまとめている。2回観た。めちゃ良い映画。