グランド・ブダペスト・ホテル

2014年、米・独、ウェス・アンダーソン監督作

ヨーロッパの東端の国にあるグランド・ブダペスト・ホテル。ホテルのコンシェルジュとベルボーイはある婦人の死にまつわる騒動に巻き込まれる。

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この映画も2時間弱とコンパクトだけれど、作家の映画だなと思う。全ての画面の構図と色合いが計画されたもので、絵本か画集を見ているような趣がある。俳優の演技もそれに合わせてコミカル。俳優たちがセットの中で動き回る所作は計算されたものだろう。よくできた演劇という感じがする。ウェス・アンダーソンは本作の前後に『ファンタスティックMr.FOX』と『犬ヶ島』という人形アニメーションの作品を作っているけれど、そっちの方向へいくのも分かる。アニメーションは全てを設計して作り上げるものだから。

華やかな映像に対して物語にはあまり興味がわかない。以前見た『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』も映像の美しさに比して物語に惹かれるところはなかったので、ウェス・アンダーソンの映画はそういうものなのかも知れない。人形アニメの2作はとても面白かったけれど。