リコリス・ピザ

2022年、米国、ポール・トーマス・アンダーソン監督。

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ロサンゼルス郊外の町に住む高校生男子と10歳年上の女子の恋愛物語

主人公の男子の方は子役として活躍し商才もある15歳。一方の女子は、やりたいこともやるべきことも見つけられないでいる25歳のダメ女。こんなものは女子の方を応援するに決まっている。人としてそうなるのは当然。法律でも義務付けられている。

ダメ女を演じたのはアラナ・ハイム。可愛くて仕方ない。某映画.comの感想文をつらつら見ていると「主役の二人に華がない」みたいな感想が散見されたが、まったくもって分かってない。あんなに素敵なのに彼女の可憐さが感じられないのだろうか。無力感と倦怠感が全身を襲う。

 

でも映画としてはギリギリのれなかった。


男子を演じたのはフィリップ・シーモア・ホフマンの息子であるクーパー・ホフマン。彼が自信家な役柄なのですよね。子役として活躍していて金も持っていて、アラナを口説いてレストランに誘ったりする。高校生なのに。将来の展望にも何も不安を抱いてないし、金儲けの機会を窺う野心もある。こんな男子は放っておいてもうまくいくのだから応援する必要はない。人としてそうなるのは当然。法律なら規制対象。

 

くだらないエピソードの積み重ねも愛らしいけれど、ショーン・ペントム・ウェイツブラッドリー・クーパーといった有名俳優が出てくる。彼らがなぜ出てきたのか、唐突でついていけなかった。実在のモデルとなった人物が分からないからそう思ったのだろうか。

 

映像も温かみがあって、これみよがし、といった色調ではないもののノスタルジーを感じさせて音楽も悪くない。というか好きな部類。


ポール・トーマス・アンダーソンは『ブギー・ナイツ』が好き過ぎて、以降も殆ど見ている。『マグノリア』では音楽のエイミー・マンが好きになったし『パンチドランク・ラブ』も静かなアメリカ映画で好印象を持っている。その後の重厚な作風の映画はあまり好きでなかったけれど、今作は『ブギー・ナイツ』のテイストに近くて絶対好きになるだろうと思えた。なのに、のれなかった。
最近、気持ちが低調で本当にやる気が出ないし自分でも覇気がないと感じる。気をつけないと一日ウトウトしている間に一日が過ぎてしまう。この映画を楽しめなかったのはこちらの調子が悪いせいじゃないかと思える。