トップガン

1986年、米国、トニー・スコット監督作

トム・クルーズの戦闘機アクション映画。

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1986年の映画に今あれこれ言っても仕方ない。だって36年も前の映画で、その時代からすれば映画の中のあらゆる技術は進化して洗練されているのだから。

劇中で同じ曲が何度も流れるのがダサイとか、美女がいつの間にか主人公に惚れているといった男子の妄想的な恋愛譚がご都合主義的すぎるとか、航空アクションも戦闘機のどの席に誰が載っていて、そもそも今飛んでいる飛行機は誰なのか分かり難いとか、難癖をつけようと思えば幾らでもつけられる。でも36年前の映画だから。そんなことを言っても仕方ない。36年経って映画作法の進化した時代の視点で過去にイチャモンを言うなんて卑怯。

やっぱり映画というのはできるだけ同時代で鑑賞しておかなければならないのだなと思う。その時代にしか味わえない感動というものがあるから。

 

映画の冒頭は空母から戦闘機が発艦する場面が続く。この場面なんて今観てもめちゃくちゃ格好良い。スタイリッシュ。当時観ていたならどぎもを抜かれたんじゃないだろうか。他にも戦闘機の空撮場面はどこを切り取っても美しい。

 

ジェット戦闘機、バイク、美女との恋、友情、ライバルとの競争、そして戦争。男子の好きな物がこれでもかと詰まってる。
映画の最終盤は国籍不明機とのドッグファイト。あの戦闘機はどこの国の軍隊なのか、撃ち落として国と国との戦争に発展しないのだろうか、撃ち落とされた戦闘機の搭乗員も彼の国を守るために戦っていて家族もいるだろう、そんなことを考えるのは野暮。敵が現れる、戦う、勝つ。無邪気すぎるけれど、そういうことが爽快感と感じられるのは確か。
もしもアメリカ軍ではなくて、これが航空自衛隊の映画だったならどうだろう。国籍不明機はロシアか中国か北朝鮮で、そいつらに正義の制裁を下す、そんな映画だったらどうだろう。無邪気に自衛隊の活躍に歓喜する人もいるだろうけれど、物議を醸すんではないだろうか。自衛隊、ひいては軍事力の賛美だとか。そしてそんな批判をする人たちには、お決まりのように、国防の何が悪いのか、非国民め、みたいなことも言われるんじゃないだろうか。

でもこの映画にそういう視点はない。アメリカと日本では軍隊の位置づけが違うというのがそもそもあるだろうし、時代もあるだろうし、何しろ娯楽映画なのだから。

トップガン マーベリック』の予習として鑑賞したけれど、そんなことを思いながら観た。そして何より面白かった。