ベルファスト
北アイルランドの街・ベルファストで暮らす家族は、宗教紛争で治安が悪化する中イングランドへの移住を模索する。
監督ケネス・ブラナーの自伝的映画であるらしい。
北アイルランド紛争というものに詳しくはないが、当時はIRAというような名前が知られていて、英国というところは意外と物騒なところなのだと思っていた感じがある。宗教と独立の入り組んだこの時代背景は複雑だけれど、それを知らなくても十分理解できる映画になっていた。家族の末弟、少年の視点で物語は進むから。
コメディーの部分が可笑しいのですよね。クラスの中で成績発表がある場面では、子どもたちの表情や仕草が可愛くて、それでいて得意気だったり残念な感じだったりして、セリフでなく表情と仕草でそれぞれの内面が表現されている。感心すると共にクスクスと笑える場面だった。
宗教紛争が背景にあるけれど、家族が引っ越しをするかどうかという時の少年の気持ちを描いた映画でもあり、親戚や好きな女子との関わりが泣かせる。少年時代ってこんな感じで楽しいことも悲しいこともある。
1969年って日本の庶民を描いた映画ならもっと貧しい家庭に見えただろう。映画の中の家族もお金に困っているけれど、家や調度品は洗練されていて、この時代の東洋と西洋の差も思い知らされる。
笑って泣いて映画を観終わった後は良い気分になって、流石にアカデミー脚本賞を獲った映画だなということにも感心した。