燃えよ剣

2021年、日本、原田眞人監督作

新選組土方歳三を主人公にすえた幕末群像劇。原作は司馬遼太郎の同名小説。

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すごく面白かったとは言えないけれど、つまらなかったわけでもない映画。

ロケーション撮影の場面はどの場面も美しく、映画を観ているという満足感があって「よくこんな場所を探してきたなあ」と思う感慨もあった。時代劇だからそういうの大事だと思う。あれもこれもセットの中だと思うよりも開放感があるから。
俳優も芹沢鴨を演じた伊藤英明は、悪辣な人物なはずなのにどこか同情してしてしまうような魅力があった。以外だったのは、新選組の下っ端隊士を演じた村本大輔。なんだか妙に印象に残る俳優だなと思って見ていると結構大事な役どころで、嫌な奴を見事に演じていた。漫才士としての印象が強い人だけれど俳優としてこんな実力があるのかと思わされた。

映画全体はお話を詰め込み過ぎで、文庫本でも上下巻になる原作を2時間ほどの映画にするには少し無理があったのかと。原作は随分昔に読んで、もう内容はあまり憶えていないけれど登場人物の誰もに好感が持てるような印象が残っている。でも映画ではそれがなかった。新選組内部での派閥抗争的なものがあって内部粛清が行われるが、それを主導しているのは岡田准一が演じる土方歳三で、そんな人物を好きになれるわけもない。
沖田総司の人物造形はわかり易い漫画みたいで、こういうの良くないなとも。

でも岡田准一の殺陣は独特で、そういう場面は以外に血みどろだったりして結構迫力があった。アクション映画としての面白さもちょっとあった。

良いなあと思うところがありつつも全体としては「ああ面白かった」とは思えず映画館を後にしたのでした。