調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝

楽家、音楽評論家として著名な近田春夫氏の自伝。

 

面白い。日本の大衆音楽の世界を渡り歩いて来た人の自伝だから、その業界の変遷を辿る内容でもあって無闇に面白い。

近田春夫自身が筆をとったというものではなく、構成者の下井草秀氏との対談というか聞き取りによるものを語りおろしたような内容になっている。
GSの時代からロッカーでCM音楽も沢山作って、日本のHIPHOPのパイオニアになった後に今はテクノをやっているらしい。こんなにジャンルを横断して生き残っている人って珍しいと思うのだけれど、そういうのって人としてのエネルギーがそうさせるんだろうなと思う。読んでいると兎に角遊び好きな様子が伺えるし、そして良い意味での軽やかさがある。でも週刊誌に連載していた『考えるヒット』みたいなのは豊富な音楽の実践経験と知識があるからこそ書けるものだろうし、奥が深い。ものすごく奉られて尊敬されて良い人だと思うけれど、そういうのも嫌いみたいで、そんな偉そうにしない人柄みたいなものも透けて見えるのが流石だなと思う。やっぱり何事かを成している人は苦労話を湿っぽく語らないのだよなと思う。

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