愛しのアイリーン

2018年、日本、 吉田恵輔監督作

地方の寒村で年老いた両親と暮らす中年男。職場で好意を寄せた女にふられ、フィリピンでお見合いツアーに参加して妻をめとって帰って来る。しかし母親からは理解が得られず、ヤクザとのトラブルに巻き込まれ何もかもうまくいかない。

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凄まじくエネルギーに溢れているのは認めるが嫌いな映画。でも半端じゃない熱量が込められてるのは確か。
新井英樹の漫画が原作だけれど、この人の漫画が好きじゃないもの。もの凄く気迫が込められているのは分かるけれど熱過ぎて。
だからそいう原作を映画化した本作も同じ理由で自分にはだめだった。登場人物の誰にも共感できないし。
ダメ人間の話は好きで、本作はダメ男の物語ではあるけれど、こういうダメさは好きじゃない。安田顕は熱演だとは思うけれど、この主人公は結構自分の欲望の赴くままに行動していて自由で行動力があるもの。共感する部分もないではないけれど、こういう男は嫌い。

男がフィリピンから嫁を連れて帰ってからずっと男の母親は嫁のことをいじめ続ける。それは息子に対して愛情があるからで、日本人のきちんとした人を妻にしてやりたいという思いからだけど、自分の思う理想の嫁以外は認めないという意固地さでしかない。息子を溺愛する理由も先に生れた子供を失くしてやっと授かった子だったり、若い頃に姑にいじめられたということが示唆されるけれど、自分がどれだけ辛かったからって次の世代にそれをもう一度押し付けて良いというものでもない。この役を演じる木野花は画面に出ている間本当に不快だった。これも熱演だとは思うけれど。

どいつもこいつも自分の都合を振り回して勝手に行動して、それに振り回されるフィリピン人の妻アイリーンがただ一人だけ可哀想で見てられない。彼女を全員で不幸にしているようなお話で胸糞悪いとしか。

最後に主題歌が流れて愛がどうだとか歌ってるけど、そんなことじゃないと思う。邦画はラストシーンにとってつけたような主題歌を流して誤魔化すのやめた方が良いよ。そういうのいつになったら卒業できるのか。