スターリンの葬送狂騒曲

2017年、英・仏、アーマンド・イアヌッチ監督

ヨシフ・スターリンの死後、如何に指導部内で権力闘争が行われたのかを描く喜劇。

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史実としては、スターリンの死後にはマレンコフがソヴィエト連邦の指導者になるが、それは一瞬のことで、以後はフルシチョフが最高権力者となる。ということがwikipedeiaに書いてあった。
その権力闘争の顛末が描かれている映画で、指導者たちを愚か者として描くことによって喜劇に仕立て上げている。けれど正直言うと笑えない。クスリとも笑えない。
スターリンの治世下というのは大粛清と呼ばれる大量殺戮が行われた時代で、政敵、党に従順でない者、そして国民までをも巻き込んで排除と殺戮が行われた恐怖政治の時代だった。
劇中でも、政治家だけでなく兵士たちもいつ自分が排除される側になるのかと戦々恐々としている。そして沢山人が死ぬ。こんな話を笑いながら観るほど図太い人間じゃない。いっそのことドタバタ喜劇として作れば笑えたのかも知れないけれど。

殆どの撮影を英国で撮影したらしい。ソヴィエト・ロシアというと建築や部屋の調度品などがヨーロッパと違って独特のものがあると思うけれど、それを再現しているように思う。しかし極東のアジア人が観てそう思うだけで、ロシア人が見れば随所に違和感があるのかも知れない。外国人が演じるサムライやニンジャに日本人は変な感じを持つような。

製作国が英仏なので登場人物が英語を話すのは仕方ない。ロシア語の話せる俳優を揃えて映画を作るとなるとロシアで製作するしかないだろうし、ロシアでこんな史実を映画化できるのかとも思う。そう思ってネットを見てみると

ブラックすぎてロシアで上映禁止に!?「スターリンの葬送狂騒曲」予告編が完成 : 映画ニュース - 映画.com

ロシアでは上映禁止だったらしい。同じような話を作るなんて全く無理な話。
もうすでにロシアは共産党の統治下ではないのにと思うけれど、今の権力者たちは、例えそれがかつての人物であっても権力者をおちょくるような映画は認めないということだろうか。ロシア事情に詳しくないので分からないけれど。